七夕の由来と風習の意味と仏教の関わり

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

あなたは、7月と言うと何を連想されるでしょうか?
456682 私は京都生まれ京都育ちという事もあり、真っ先に祇園祭を連想致します。

全国的には、7月と言えば水ようかんの季節であり、七夕(たなばた)を連想されるところでしょうか。

七夕の時期になると、各地で笹に願い事を書いた短冊を飾る催しがなされるもので、季節を感じます。



七夕と言えば、織姫と彦星の伝説が有名ですが、仏教者である私にとっては、七夕の風習と仏教との関連を観る時期でもあります。

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七夕の様々な由来や風習を学ぶとなかなか面白いし興味深い

七夕は、色々な風習があり、地域によっても個性が顔を出します。



例えば、沖縄県では七夕は旧暦で行い、月遅れの新暦8月に催されます。

別の機会にお話し致しますが、実はこの「旧暦で七夕に関する行事を執り行う、七夕祭りを催す」という事は、仏教とも関連しており、理に適っているのです。



このような、新暦旧暦の違いをはじめ、七夕はその由来や風習を学び始めると、結構面白くて興味深い事もわかってきます。

宗教的な話をすれば、七夕にまつわる宗教的エトス(行為様式)から智慧や伝統を学ぶと言う事です。



今回は、七夕でよく見られる風習の由来や意味を紐解いて、共に学んで行く事に致しましょう。

七夕の由来:仏教

七夕の伝説や由来と言えば、真っ先に連想するのが、
:織姫と彦星の七夕伝説
でしょうか。



ちなみに私は、最近、という程最近でもありませんが、シャフトのアニメ作品「化物語(物語シリーズ1作目)」のエンディングテーマが、見事だと思いました。

化物語でのエンディングテーマでは、アルタイルやベガなどの夏の大三角と、織姫と彦星が歌詞にあります。

機会があれば、エンディングテーマの「君の知らない物語(supercellさん)」を視聴されると良いでしょう。



閑話休題。



織り姫と彦星の伝説は別の機会に話を致しますから、ここでは仏教徒らしく仏教にまつわる七夕の由来をお伝え致します。



七夕は、全国的には新暦の7月7日に行われますが、旧暦では月遅れの8月に行われると、冒頭でお伝え致しました。

これは、気候的にも理に適っており、仏教の風習・エトスにおいても理に適っています。



そもそも、今でこそ「七夕」という文字が一般的ですが、「たなばた」は「棚幡(たなばた)」とも書きます。

ATOKを入れている人は「たなばた」で変換すると「棚機」も出て来ますが、これは「棚機津女(たなばたつめ)」に由来します。



「棚幡(たなばた)」の話に戻しますと、この「幡(はた・ばん)」がミソでして、「棚幡」の幡は、仏教祭祀に使われる仏具の事です。

お寺に行くと、文字が装飾されたりしている長い布が垂れ下がっていますが、あれが「幡」です。

最近は、ここまでされている人は少なくなってきているという感覚がありますが、幡はお盆の時に、精霊棚に安置するものです。

「棚幡」の由来は、ここにあります。



このように、旧暦のエトス(行為様式・風習)を観れば、仏教的な七夕の言われや由来が紐解けます。



ちなみに、旧暦の七夕の日、つまり現在のカレンダー通りに行うなら、旧暦の夕方から精霊棚に幡を安置するのが本来的な風習です。

ですから、お盆の迎え火は13日ですけれども、それ以前に準備をするならば、棚幡の7日夕刻前にはしておきたいところです。
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七夕の由来:笹と五色の短冊

七夕の由来や風習で気になるということとして、「なんで七夕に笹を飾るんだ?」というのも有名どころでしょうか。



これは豆知識的なことですが、笹は竹と似て非なるものであり、笹の代わりに竹を使うこともあるそうです。

私が読んだ禅僧の本にも、「竹は、花屋か近所で分けて貰う方法がある」と書かれており、七夕で使う植物は、笹でも竹でも、どちらでも良いようです。



ちなみに、笹と竹の違いは大雑把に言うと
:筍の皮部分が落ちるのが竹、残るのが笹
だそうです。

この辺り、植物学的な知識をお持ちの方が詳しいでしょう。



では何故、七夕に笹や竹を使うのか。



これは、笹は真っ直ぐと伸びて生命力がある事を象徴しており、縁起が良く魔除けの効果もあるという事に由来します。

この魔除け効果は、以前に水無月(小豆ういろう)の表題でお伝え致しました、夏越の祓(大祓)とも関係しております。

参照:「水無月(小豆ういろう)の由来と意味 」



夏越の祓(大祓)では、茅の輪くぐりをする際、両脇に笹竹を用います。

魔除けの力という信仰がある笹竹を、夏の厄除けのために笹竹を用いるのは、宗教的に理に適っておりますね。



そして、この笹は、寺社では年末の大掃除の時に活躍します。

京都では毎年テレビでも少しだけ報じられるのですが、大掃除前の「御煤払(おすすはらい、すす払いの事)」で、この笹が用いられます。

京都でしたら、有名な御煤払の行事と言えば、東西の本願寺で行われている御煤払です。

毎年、KBS京都や京都の地方ニュースで報じられて「今年も大掃除の季節がやって来た」と、思わせて頂けます。



次に、笹竹に願い事を書いた短冊を飾るという風習についてですが、これは日本特有の風習であり、江戸時代から受け継がれています。



短冊が五色なのは、「緑・紅・黄・白・黒→仁・礼・信・義・智」を表しており、これは五行説に由来します。

五行説については、陰陽道を学んだり、陰陽師に興味がある人はご存じの事だと思います。

短冊に願い事を書くときは、この辺り意識すると、自分の願い事との属性がマッチしたものを選べるでしょう。



こうしてみると、七夕は仏教だけではなく、陰陽道にも関連があるわけですから、色々な宗教体験なり、宗教的エトスを体感出来る伝統行事であるという味わいが御座います。
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七夕で観られる各地のエトス(行為様式・風習)

ここまで、七夕について有名どころの由来と習わしについて、お伝え致しました。



仏教者としては、七夕は盂蘭盆会(お盆)との関連を観るところでありますが、旧暦の7月に行われる七夕と盂蘭盆会に繋がる風習は、各地に御座います。



お盆は祖霊を迎えるという大切な行事であり、清められた状態にしておく必要があります。

そのために、各地では穢れ(けがれ)を清めるための水にちなんだ「禊(みそぎ)」の風習が観られます。



例えば近畿地方でしたら、人だけではなく家畜の水浴び・行水も行われます。

また、東北地方では「七夕の日は女性は髪を洗う日」と言い伝えられています。

それと関連して、七夕には、くし(髪をとかす道具)を洗う風習もあります。



このように、七夕・棚幡と仏教の関連を観ていくと、お盆にまつわる風習が見つかるものです。



七夕は、現在の暦である7月7日に、一般的な行事や七夕祭りに参加するのも、エトスを体験する良い機会です。

世間一般の七夕祭りに参加して楽しまれるのも良いでしょう。

ただ、折角なら今回の話を踏まえて、旧暦の七夕、月遅れの8月の七夕(棚幡)に、エトス(行為様式・風習)を復活させてみては如何でしょうか。

8月7日に洗髪する時に思いをはせたり、この日に美容院や床屋で穢れを専門家に洗い流して貰ったりと、違った趣があるやもしれません。



七夕については、他にも色々と話をさせて頂いております。

参照:「七夕の情報まとめ」

参照2:「京の七夕は堀川や鴨川で旧暦を味わえる」

参照3:「七夕で願い事を短冊に書く作法」



合わせてお読み頂き、味わい深い七夕を過ごして頂ければ、私としても嬉しく思うところで御座います。



合掌

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コメント

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