お盆の期間はいつか、月遅れや新盆の話

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

前回は、お盆についての由来や意味について「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」という偽経を元に話を展開致しました。
478471 仏教徒としては、お盆は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」というように「~会(え)」という言い方の方が、どうもしっくりくるようになったものです。

仏教では、正月は「修正会(しゅしょうえ、修正月会とも)」誕生日は「降誕会(ごうたんえ)」と言いますからね。

龍谷大学で就学中は、親鸞聖人のご生誕時期には「降誕会」を、大学を上げてお祝い申し上げたものであります。

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お盆の期間はいつ?という話

お盆の季節というと、あなたはいつ頃を連想されるでしょうか?

特に「お盆休み」の期間は、気になるという人もいらっしゃるでしょう。

「今年のお盆休みっていつからいつまでだっけ?」「今年のお盆休みは、土日と重なったりしないかな?」なんて懸念を成される方も、存外多いんじゃありませんかね。



そこで、お盆の期間はいつか、お盆休みはいつなのか、と言う表題を元にして、それにまつわる仏教の話もお伝え致します。



現在は基本的にお盆休みの期間と言えば、8月の中旬ですね。

全国的なお盆、盂蘭盆会の日程は、新暦の8月15日です。

私が住まわせて頂いております京都も、この日程でお盆・盂蘭盆会が行われ、8月12日までには準備を行い、8月13日に迎え火を、8月16日には送り火を焚きます。

ちなみに京都では、送り火を各家庭でする習慣は薄く、五山送り火で祖霊を送らせて頂く、という風習が今も根付いております。



カレンダー通りの企業にお勤めの方や、子供達にとって気になるお盆休みは大体が、
:8月13日から8月16日
です。

全国的に「お盆休みはいつ?」と尋ねられると、大体この期間を指すのだろうと思われます。



サービス業の方は、このお盆休み期間が稼ぎ時ということで、もの凄く忙しくなるということで、この期間に労働して下さる方々に感謝申し上げる次第であります。

お坊さんも、この期間はもの凄く忙しいと、菩提寺のお坊さんもその他のお坊さん達も仰っていました。

基本的に、全国的にお盆といえば8月15日で、お盆休みはその前後というのが、「お盆はいつ?」という問いへの回答です。
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月遅れの盆と旧盆の違い

現在は、全国的にお盆・盂蘭盆会の日程は8月15日で、これは「月遅れの盆」と呼ばれております。

地域によっては、お盆・盂蘭盆会を旧歴の7月15日で行うところもあり、沖縄や奄美群島が旧歴に行うという風習を残しています。

また、新暦7月15日にするところもありまして、東京都や神奈川県の一部で残っている風習ですね。

そして、是は後述致しますが、7月1日からお盆をするという地域もあり、事情によっては「新盆」となるところもあります。



それらの分類があるために、8月に行われるお盆、現在全国的な基準日程となっているお盆(8月15日)の事を「旧盆」と思われる人もいらっしゃるようです。

しかし、8月15日は「旧盆」ではありません。

あくまで「月遅れの盆」であり「旧盆」と呼ぶのは間違いですからご注意をば。



日本には、今でも旧歴で仏事なり神事といった宗教行事を執り行う地域もありますから、ややこしいと思う人がいらっしゃるのも無理のない事だと思う事象の一つですね、お盆は。



ちなみに、旧歴では月の満ち欠けを基準とした暦であるがゆえ、旧歴の15日は必ず満月です。

旧歴の盆が15日に満月になるということで、7月15日が旧暦の盆の年は、丁度七夕の日、7月7日に上弦の月ということで、月を愛でる行事が重なります。

月を愛でる日本の情緒や風流を感じ、旧歴の盆と七夕とのつながりを月に感じられると思うのですが、如何でしょうか。



旧歴の七夕と月遅れ盆と言えば、京都の七夕祭り「京の七夕」が、繋がっていると私は頂いております。
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参照:「京の七夕は堀川や鴨川で旧暦を味わえる」

新盆について

旧盆がいつかは、上でお伝えした通りであり、これは地域性という概念と共に受け継がれているお盆・盂蘭盆会の形です。

そして、旧盆と対というわけではありませんが「新盆(にいぼん)、初盆とも」という言葉と風習もあります。

「新盆」のご家庭では、新盆の家では白い提灯を使うのが習わしです。



旧盆とか新盆と言うと、「新盆っていつ?」という疑問をお持ちの方も、いらっしゃるやもしれません。

「新盆」についてですが、お盆の時期や期間として、旧盆や新盆があるわけではありません。

「新盆(にいぼん)」とは、家で他界された方がいらっしゃった場合、「四十九日を過ぎてから始めて迎えるお盆」の事を言います。



例えば、4月にご家族が往生されたとしたら、8月15日がお盆・盂蘭盆会という地域でしたら、その年の8月15日が「新盆」です。

もしも、49日後にはすでにお盆が終わっている、もしくはお盆の期間中に、家のどなたかが往生された場合は、翌年のお盆・盂蘭盆会が「新盆」となります。



ただ、これは宗派によって異なりますから、更に詳しい話を知りたい方は、菩提寺の和尚さんに尋ねられると良いでしょう。



ちなみに私の家は浄土宗であり、浄土宗では四十九日に則った新盆となります。

ゆえに、7月からお盆・盂蘭盆会の日程前に往生された方が家族にいる場合、翌年のお盆が新盆です。



浄土真宗では、お盆だからと言って特別なまつり方はしないと、浄土真宗本願寺派のお寺の方が仰っていて、新盆・初盆については私も詳しい事は存じません、申し訳ありません。

真宗会館や浄土真宗のお坊さんによる回答では、浄土真宗にも新盆・初盆の概念はある、とのことです。

四十九日、つまり中陰を過ぎてからのお盆が新盆・初盆とするそうです。

四十九日を過ぎていない場合は、翌年のお盆を初盆として迎えるという回答でした。

真宗大谷派の小松教区のご住職によると、四十九日の法要は浄土真宗もされるとの事でしたし、真宗会館で読ませて頂いた回答は、新盆・初盆もそれに応じていると頂いております。



ただ、私は毎年お盆は浄土宗のエトス(行為様式)に則ってさせて頂いており、浄土真宗のお盆については確実な事は回答しかねます。

私の家の宗派ではない事とはいえ、勉強不足で申し訳ありません。



詳しい事はこれ以上は申し上げられず、やはり気になる人は菩提寺の和尚さんに尋ねられるのが一番でしょう。

私も真宗・浄土真宗のお坊さんと話す機会を頂けましたら、改めて伺っておきます。

お西もお東も、東西の本願寺では毎日のように御法話が御座いますから、尋ねる機会に恵まれており、非常に有り難い話であります。
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7月1日からお盆という地域もあります

これは、禅僧が書かれた本で知ったのですが、7月1日からお盆という地域もあるそうです。

地域によっては「お盆っていつ?」と聞かれると、「7月1日から」と答える人もいらっしゃるでしょうが、これでその人がどこの地域出身かがわかるというものです。



7月1日と言えば、京都では祇園祭が始まる季節ですね。

7月1日から始まるお盆は、上でお伝えしました通り、七夕ともまた関係を見つける事が出来ますよ。



7月7日の「七夕(たなばた)」「棚幡(たなばた)」とも書くという話は、以前にした事があります。

参照1:「七夕の由来と様々な風習の意味と仏教」

参照2:「断捨離のコツと効果|七夕とお盆編 」

精霊棚と、そこに安置する幡を意味する言葉であり、7月1日にお盆が始まる地域では、七夕とお盆を同時に行うということになります。

このようなエトス(行為様式・風習や習慣)から、七夕は仏事だという認識をされている人も、地域によってはいらっしゃるだろうと考えられます。



そして、13日に盆提灯を灯して迎え火で祖霊をお迎えし、16日まで灯明を絶やさず、16日の夕方に送り火を焚いて祖霊を送らせて頂くのは、月遅れの盆と同じです。



7月1日からお盆が始まるのは「地獄の蓋がこの日に開くから」という話によるものです。

7月1日は「釜蓋朔日(かまぶたさくじつ)」と呼ばれ、そこから盆提灯をつるして祖霊をお迎えする準備を始める、ということなのです。

この辺り、「鬼灯の冷徹」で、テレビアニメーション版の最終回や原作漫画にて、わかりやすく絵にして表現されていましたから、読んだ人は観た人はイメージしやすいでしょう。



浄土宗や浄土真宗でしたら、極楽往生をされたご先祖様ということで、極楽浄土から来られると言う事を想定している節があります。

それを思うと、地獄からやってこられる祖霊をお迎えするという印象がありますね、この風習って。

この辺り、お盆という仏教に関連する行事一つとっても、地域性があり、民俗学的に、比較宗教学的に研究しても、興味深いと思う今日この頃です。



尚、お盆とは何か、基本的な事柄については、こちらを参照して頂けると、より理解が深まるかと存じます。

参照:「お盆とは何かを盂蘭盆経から学ぶ」

また、お盆について総合的に学べる、ベースキャンプ的なまとめ記事も用意させて頂いております。

参照:「お盆の情報まとめ」

お盆について知識を深めると共に、これを機会に、ご実家の菩提寺や宗派、宗の教えを一度味わってみては如何でしょう。



合掌

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