七草粥のレシピと地域の献立|春の七草の覚え方は歌を一首詠むとよい

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

おせち料理についてお伝えしてきましたが、おせち料理が終わったら、1月7日には春の七草を使った「七草粥」を食べる風習が御座います。
七草粥については、お粥は精進料理の献立と言いますか、メニューの一つでもありますから、仏教と関連があるかと思うておりましたが、どうやら神道との関連の方が近いようです。

春の七草には、「仏の座(ほとけのざ)」や「御形(ごぎょう:仏の体のこと)」があるから、仏教とも密接に関わりがあると思うたものですがね。

ただ、その話を学ばせて頂いたのが、臨済宗と曹洞宗、禅宗のお坊さんからというのも、何とも不可思議で面白い御縁で御座います。



仏教と七草粥については、今回は最後にさらりとお伝えするに留めます、仏教関連のお堂(ブログ)ではありますが、寛容にご勘弁頂ければ嬉しゅう御座います。

今回は、七草粥の作り方・レシピと共に、地域の献立について、お伝えしながら、春の七草の覚え方と歌も、お伝え致します。

スポンサーリンク

七草粥のレシピ・作り方

七草粥について気になる事と言えば、由来や意味よりも、現実的なことを考えると、レシピ、つまり作り方で御座いましょう。

禅僧から頂いた七草粥や春の七草についての由来や意味を、私からお伝えする事も出来ますが、今回は割愛致します。

ほとけのざ(仏の座)や、御形(ごぎょう)について、語りたいことはありますがね。



七草粥を作る際、現在はスーパーマーケットにて、簡単に春の七草が手に入ります。

パック売りされていますし、ネットスーパーなどの通信販売もありますから、食材の確保は問題ありません。

出来る事なら、きちんと野菜売り場で手に入れたいところではありますが。



とりあえず、スーパーで春の七草を手に入れたとしましょう。

ここから話します七草粥のレシピ・作り方については、臨済宗の禅僧由来のレシピを紹介致します。

流石は禅僧、おかゆの作り方は心得られているものです。



七草粥を作る時、まず、米をお粥として食べる分だけ鍋に入れ、米1に対して4倍から5倍の水を用意します。

「米1:水4もしくは5」です。

あくまで水の量は目安であり、どろどろ加減は火を入れた時に調整すると良いでしょう。



米と水を鍋に入れたら、30分ほど水に浸します。

水に浸し終わったら、次に強火にかけて、吹いてきたら弱火にして、30分ほどぐつぐつと火にかけます。

この時、手持ちぶさただからと言ってかき混ぜると、米が潰れてどろどろになりすぎて、見た目も宜しくなくなります。

私、実際に是をやってしまって、ぐちゃぐちゃにしてしまいましたから、同じ轍を踏まないようにご注意を。



七草粥をレシピ通りに作ると、結構時間がかかりますから、おかずを作りながら料理されると良いでしょう。



鍋の中が良い感じにお粥となってきたら、火を止める直前に春の七草を刻んで入れて、もう一煮立ちしたら火を止め、後は個々によそって塩や梅干しで味付けして頂きます。



以上が、春の七草を用いた、一般的と言いますか、スタンダード・ごく普通なる七草粥のレシピ・作り方です。

七草粥の献立は地域によって特色があり興味深い

七草粥のレシピ・作り方は、上でお伝えしたレシピが一般的なものです。



七草粥のレシピや献立は、実は地域によって色々と御座いまして、中に入れる具材も異なります。

この辺り、民俗学的な研究をしている人や、興味がある人は、調べて観るとなかなかに楽しめるかと存じます。

レシピ・作り方や献立も違えば、呼び方も違いますし、七草の使い方や、全部使うか何種類かだけ使うか、など、色々と異なります。

食べる日にも違いがあり、実に興味深い。



また、後ほど伝え致しますが、七草粥にまつわる歌も、地域によって色々と御座いますから、大学の学科によっては、卒業論文のテーマにしてもいいかも、というのは言い過ぎでしょうかね。



例えば、私が住まわせて頂いて居る京都の場合、京都の春の七草を使った七草粥の献立です。

京都では、どの地域も割と一般的、スタンダードな七草粥の概念通りのレシピであり、献立ですよ。

右京区辺りでは、なずなと餅を入れた粥で七草粥としまして、正月に残った餅を、ここで使う事も出来ます。

右京区には、春の七草にまつわる歌もあり、これは後ほどお伝え致します。



私の母方の故郷である長野県では、安曇野市では京都市右京区と同じく、餅を入れます。

諏訪市辺りでしたら、春の七草と大豆や小豆の他に、ゴボウや人参といった根菜も入れると教わりました。

白菜を入れる地域もありますね。



曹洞宗の僧侶で日本文化学科の大学教授であられる、ぶっちゃけ寺でおなじみの千葉公磁さんは、大分県と岡山県の七草粥の時期に食べる食べ物の風習を、教えて下さっています。

春の七草、七草粥の日や時期には、雑炊を食べる地域も多く御座います。



例えば、大分県臼杵市(うすきし)では、ゴボウや里芋といった、おせち料理で食べる煮物類を一緒に炊きあげる「七草雑炊」を食べる風習があります。

法然上人がご出身の岡山県では、長野県と似ていて、なずなと共に餅と豆を入れた雑炊を食べます。



こうしてみると、京都は普通と言いますか、スタンダードな七草粥の風習であるように思えてきました。

もちろん、そこに善し悪しは無くて、私としては地域の風習と文化の素晴らしさや奥行きを感じる、実に興味深い話として、味わいを頂いております。

味わいを頂くという事を、読んで字の如く、春の七草を使った、その地域・地方による七草粥の献立を、味わいたいものです。



試しに、あなたのお住まいの地域では、どのような七草粥のレシピ・作り方で、献立はいかようなものなのか、調べて観て実際に味わうと、地域の歴史と風習を味わえるかと存じます。
スポンサーリンク

春の七草にまつわる歌と覚え方:一首詠むと覚えやすい

上の方で、春の七草にまつわる歌についても少し触れましたから、その話をしておきましょう。

七草粥のレシピや作り方、献立だけでは味気ない、という人もいらっしゃるかもしれませんからね。

味のある七草粥の味わいに、味気ないとはこれいかに、ってなもんですが。

春の七草、また七草粥を歌った歌を、「唱え言(となえごと)」とも言いますから、教養として覚えて置かれると良いかと存じます。

春の七草にまつわる歌として、上で紹介しました通り、私が住まわせて頂いて居る京都には、こんな歌が伝わっております。


かんこの鳥は、日本の土地へ、渡らぬ先は、七草はじかみ、七草はじかみ

「はじかみ」というのは「薑」と書きまして、生姜などの辛い食べ物に対する古来からの呼び方です。

最近では、京都でも聞かなくなった呼び方ですがね、私より若い世代で知っているとなると、よほど興味があるか、祖父母からの伝統をきちんと受け継いでいる人くらいでしょうか。

興味深いのは、京都の土地の名である歌が、滋賀県の七草粥や春の七草にまつわる唱え言として伝わっている歌です。

たんたんたらふく、祇園の鳥と、八坂の鳥と

申し訳ありません、なぜこの歌が滋賀県野洲市ゆかりの春の七草や七草粥の歌なのか、存じ上げません。

知っている人がいらっしゃいましたら、ご一報頂ければ幸いです。

七草を刻んでいる音が心地よい歌が、有名どころでありましょうか。

私の母方の故郷である長野県では、こんな感じです。


七草なずな、唐土の鳥が、日本の橋を、渡らぬ先に、スットントン、ストトン

まな板の上を叩く包丁の音が、実に心地よい情緒を感じる歌です。

禅僧である千葉公磁さんの本では、埼玉県の歌が紹介されておりますから、興味がある人は読まれると良いでしょう。



歌と言いますと、これも禅僧由来の本で学んだ事ですが、春の七草の覚え方も、歌にすると覚えやすいものであります。

「せりなずな、ごぎょうはこべら、ほとけのざ、すずなすずしろ、これぞ七草」

これも、千葉公磁さんの本にありまして、私はもっと確実に覚える覚え方として、「これぞ七草」を「春の七草」と変えております。

春の七草は語呂が良く、一首詠めるから、実に覚えやすい。

国語や古文の授業で、俳句や短歌を習ってきた経験があるならば、五七五の音韻・リズムは覚えやすい覚え方かと思われます。



折角ですから、もう一つ豆知識的な話をば。

英語で七草粥を、どのように表現するかご存じでしょうか。

ATOKで変換してみたら、こうでましたよ。

「rice porridge with the seven spring herbs」

・・・長い。

仏教色は色濃くないかも知れないが

七草粥は、御形(ごぎょう)や仏の座(ほとけのざ)など、仏教的情緒を感じる春の七草を入れます。

仏の座というと、蓮の台(うてな)を連想しますが、その形に似ていることから付いた名前、というのが、仏の座という植物の名前の由来です。

それゆえに、仏教ゆかりの食べ物かと思いきや、そんなに色濃い事は御座いません。

神仏習合時代の名残もあるかもしれませんがね。



そもそも、特に真宗・浄土真宗では、迷信だの占いといった類いは、戒める教えも御座います。

原始仏教からも、その教えは伝えられておりますし、釈尊も「惑わされないように」と、戒めて下さっている教えが、仏教にありますからね。

七草粥の意味や由来を辿ると、そういった話も出て来ますから、仏教との関わりが色濃くないと言われても、頷けるものです。



ただ、私も浄土宗の檀家で浄土仏教者の教えを大切にしてはおりますが、だからといって七草粥を嫌ってはいませんし、毎年頂いております。

七草粥に使う春の七草は、実用面から観てみると、栄養があって、おせち料理や年末年始の食事で疲れた胃腸を休めるという、非常に合理的な食べ物でもあります。

時期も、丁度良い塩梅ですし、なかなかに理に適った食べ物の風習なのです。



例えば「はこべら」は、タンパク質やミネラルなどの栄養素に富む食べ物で、薬草としても徴用されてきた歴史があります。

「せり(芹)」も、貧血や便秘解消に良い草です。



仏教的な意味合いは色濃くは無いかも知れませんが、精進料理のおかゆを頂くという頂き方で、理に適った七草粥の風習を頂くというのも、味わい深いものである。

私はそのように感じますが、如何でしょうか。



合掌

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加