有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
私はうつ病の経験があるために、うつ病に関連したり併発する関係性が高い病気や症候群も調べた事がありますが、そのなかに「オーバートレーニング症候群」があります。
大久保嘉人選手や権田修一選手、藤田のぞみさんといったプロサッカー選手達がその症状を告白されていることから、サッカーファンなら知っている人も多いのではないかと推察致します。
他にも、マラソンランナーや持久力を必要とする競技に多い傾向があり、ボクシング選手、ボクサーにも多そうな気がします。
オーバートレーニング症候群とは、パフォーマンスや成績、運動能力の低下と、うつ症状などの精神的な症状も見受けられるという特徴があります。
沢山練習をしているのに、成績が低下したりパフォーマンスの低下、慢性疲労などの現象や症状が観られると、疑った方が良いでしょう。
更には気分障害や睡眠障害、自己嫌悪や自己の評価の低下等のうつ病の症状も現れたら、オーバートレーニング症候群を疑って専門医にかかる必要があります。
オーバートレーニング症候群の治療法や予防法も研究が進んでいるが・・・
オーバートレーニング症候群とは、:慢性疲労の状態が常になっている
が症状の特徴です。
これは、過度に負荷を掛けたり長時間トレーニングしっぱなしで、しかも休養不足が原因です。
現在は、オーバートレーニング症候群の理解も広まり、スポーツ内科などの専門外来で、治療法や対処法も確立されてきております。
回復のための治療法も効果が認められていますし、診断が難しいとはいえ診断方法も進化を続けています。
例えば、「心肺運動負荷試験」や自律神経の状態のチェック、POMS検査と呼ばれる心理テストで心理状態を診断する等、複数の方面からの診断が出来ます。
それによって、予防や症状が出る前に休養を取って回復する、症状が出ている場合は長期休養を取って治療法の実践に専念するなどの対処法があります。
ただ、治療法や克服法、予防方法などが徐々に確立されていると言っても、トレーニー本人が自覚したり診断を受けないことには始まりません。
自分では気がつきにくいものですし、気づいても少々のことは「ちょっと今日は調子が悪いだけ」と、放置しがちという事もありますから、客観的指標は常に装備しておきたいものですね。
それに、生真面目であったり、追い込み過ぎる選手が陥りやすいと言う特徴もあります。
「サボっていると思われたくない。」「勝つんだ、勝つんだ!」と、負けず嫌いの度合いが凄まじかったり、厳しすぎるトレーナーがパートナーという環境でも発症する可能性が上がります。
そして、生真面目ゆえに「パフォーマンスの低下は自己責任、自分の弱さだ!」と、更に自分を追い込む修行僧な人は、症状が悪化したり長期化するという悪循環に陥ってしまう可能性が高いと言われています。
オーバートレーニング症候群の治療法や回復、予防に禅の知恵を取り入れる
私は周囲からも生真面目と言われる事が多く、私は自分が神経質だという自覚があるために、私も気をつけないといけません。私はHSP(Highly Sensitive Person・感度が高い人、神経過敏な人)であることは自覚していますし、似たような性質の人は特にオーバートレーニング症候群になりやすいのではないかと考えております。
だったら、その生真面目さを活用して、予防や治療法に
:禅の知恵・禅的生活習慣
を、取り入れるという方法は効果的ではないか、私はそのように考えております。
もちろん、専門医・医者の診断や適切な治療法を行う、予防方法を実践すると言う事が大前提ですからね。
その上で、治療法の実践に一つ二つ加える、あるいは予防のために一つ二つ習慣を加えるという認識で、ご理解下されば幸いです。
治療法は基本的に休養すること。その休養期間中に禅の知恵を取り入れる
オーバートレーニング症候群の治療法は、:適切な休養、休息を取ること
です。
でも、生真面目な人でしたら、「こうしている間に身体がなまる・・・」「自分はサボっているんだ・・。」と、うつうつとした精神状態になってしまう可能性が高いでしょう。
そこで、身体は休養状態だけれども、身体性を高める生活習慣を実践するのです。
どういうことかというと、
:激しい運動はしない
:でも身体性は損なわない
:集中力も高まる効果がある
という、禅的生活を習慣化すると言う事です。
例えば、私の場合は朝と晩に浄土宗の勤行と坐禅を組みますが、御経や偈、南無阿弥陀仏のお念仏をお唱えさせて頂いている時は、その事だけに集中しております。
もちろん、雑念や煩悩は出て来ますが、出て来たらそれを受け流し、また集中します。
声を出して勤行させて頂いておりますから、身体を使っていますし身体性のある活動です。
私のように仏教の勤行ではなくても、料理や散歩といった身体を使う生活習慣に応用して活用する事が出来ますよ。
「水中ウォーキングの効果的な歩き方」でお伝えした事を、今度は陸上の散歩、軽めのウォーキングや料理の時に応用するのです。
料理は基本的に身体を使いますから、身体性の高い活動ですからね、もってこいの禅的修行ですし、オーバートレーニング症候群の治療や予防にも役立つ効果が見えてきます。
例えば、人参を調理するとき、洗っているときは
「洗います、洗います・・・」
と、心の中で実況中継しながら人参を洗います。
「切ります、切ります・・・。」
と心の中で実況中継を繰り返す、これを料理をしている最中はずっと繰り返していきます。
この時に、自分の身体の動きに集中して実況中継しますから、自分の身体を意識的に動かす訓練と集中力を養う訓練を同時にしていることになります。
それに、料理に集中していますから、オーバートレーニング症候群の症状から意識は離れている状態となり、精神面の治療法にも役立ちます。

オーバートレーニング症候群の予防のために毎日行う身体的な習慣を取り入れる
オーバートレーニング症候群の治療法を助けてくれる禅の知恵は、そのまま予防にも力を発揮すると、私は考えております。禅僧は、朝4時頃に起床して、朝から御経を読んだりと毎日規則正しい生活をしていらっしゃいます。
その中で、御経を読むときの声の出方や呼吸などから、身体的な変化やその日の調子が分かるという人もいらっしゃいますよ。
毎日、規則正しく同じ時間に同じ事をするという習慣があるから、わずかな変化も見逃さず、自分の肉体の変化や調子の良し悪し、更には精神状態まで把握する事が出来るのです。
オーバートレーニング症候群の特徴は、自分ではなかなか客観視して気づくと言う事が難しいから、予防のためにこの知恵をお借りしない手はありません。
例えば、
:毎朝、同じ時間にラジオ体操をする
:毎朝、10分間ゆっくりと家の中を歩く
など、そのような簡単な事から始めて、習慣づけます。
その時に大切な事は、
:一行三昧(いちぎょうざんまい)
という禅語の教えの通り、その事になり切って集中して行う事です。
それも、自分の身体の声を聴くように、丁寧に行う事が重要です。
それを続けていき、自分の身体的な変化や違和感を感じ取れるようになれば、オーバートレーニング症候群の症状や特徴に気づきやすく、早期診断を受けるきっかけになります。
オーバートレーニング症候群とは、無理せず休養をしっかりとることで防げる可能性が高いものです。
でも、生真面目手ついつい頑張りすぎて練習しがちな人は、禅の知恵をしてみる事は良き予防策なり治療法になり得ると思います。
合掌