有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
おせち料理と言えば、最近は有り難い事に、わざわざ自分で苦労して作らなくても、通信販売にて重箱付きで手に入れる事が出来ます。
ただ、我が家では通信販売であったり、店頭で売られている既製品のおせち料理ではなく、自宅で重箱を用意して、きっちりと作りきります。
うちはそういう伝統、エトス(行為様式)ゆえに。
おせち料理を作る風習ががっしりとあるわけではなくても、おせち料理を、せめて一品くらい作りたい、という人も多いことでありましょう。
現在は、中身と種類については、色々なウェブサイト、最近では薄っぺらいトレンドブログなるものも説明してくれています。
私からは、実際に毎年、3世代で協力しておせち料理を何種類も作っておりますから、実際におせち料理の中身の様子を写真付きで解説していきます。
おせち料理の中身と種類:一の重
おせち料理の種類は、重箱の段によって違い、中身もそれに合わせて違っていきます。うちの実家では、おせち料理は親戚の分量もありまして、三家族分こしらえます。

手前から一の重、二の重と続き、奥の方に舌休め的なタンパク質や野菜、白くて丸い器には、酢の物を入れております。
(あ、二の重と三の重、あべこべかも。)
何はともあれ、まずは一の重からいきましょうか。
一の重は、こんな感じです。

うちのおせち料理について、一の重の中身は、羅列するとこうなります。
「くわい(慈姑)、黒豆と栗、数の子、いくら、紅白かまぼこ、昆布巻き、車海老、田作り」です。
申し訳ありません、本来ならば一の重に、伊達巻きを入れて車海老を二の重にすべきでしょうが、重箱のスペースや祝い物の意味の関係上、こうなっております。
オリジナルと言いますか、従来の一の重とは違うかも知れませんが、とりあえず中身と種類、何を作れば良いのかの参考までに、ということで。
伝統に忠実におせち料理の中身と種類を分類するならば、この写真で言うと、一の重はいくらと車海老の代わりに、伊達巻きとたたきごぼうを入れると良いでしょう。
一の重に入れる中身は、種類別で分類しますと、基本的には「祝い肴」と言いまして、祝いもの、縁起の良い意味付けがなされている食べ物を入れます。
それについては、以前に少しだけお伝えしております。
参照記事:「おせち料理の意味と由来|正月・修正会に味わいたい風習」
くわい(慈姑:芋に一本毛が生えている姿の食べ物)は、芽が出る、という事で、出世祈願の縁起物です。
田作りは、読んで字の如くで五穀豊穣を祝う食べ物です。
おせち料理の一の重について、中身と種類、その意味については、この辺りにしておきます。
ちなみに私、仏教徒ゆえに、「縁起」という言葉については仏教用語として学び日常を生きておりますから、縁起物というと、なんだかモヤモヤ致します。
まあ、今回はとりあえず、理解しやすいようにということで、あえて使っておりますがね。
おせち料理の中身と種類:二の重
続きまして、二の重の中身と種類を見ていく事と致しましょう。うちの二の重は、こんな感じで入っております。

基本的に、焼き物と言われているもの、魚が入っております。
二の重に入れる中身の種類は「焼き肴」といい、読んで字の如く、鰤や鯛、棒鱈を入れるのが風習です。
うちは鯛と鰤は入れずに、棒鱈とたらこを二の重の中身として入れておりますがね。
海の幸を入れるのが基本ですが、うちでは油物はここに入れるようにしており、舌休め的に二足歩行の動物性タンパク質として、鶏肉を入れております。
油を使うだし巻きも、ここに入れてあり、動物性タンパク質大集合という中身と種類です。
後は、酢の物に「紅白なます(人参と大根の紅白酢の物)、蓮根の酢の物」も、入れております。
・・・申し訳ありません、段々と基本から大きく外れていることに、今やっと気がついてきました。
酢の物は、本来三の重に入れるおせち料理の中身ですからね。
うち、一般的な伝統とは違った入れ方をしております。
中身そのものは参考にして頂けるでしょうが、お重の段、種類別は、別途学び直して頂ければ幸いです。
おせち料理の中身と種類:三の重
おせち料理について、うちの重箱を参照にした中身と種類について、三の重へ進みましょう。うちの三の重はこんな感じです。

「煮ごぼう、たたきごぼう、人参と大根の紅白、里芋の煮物、三色蒟蒻、炊き蓮根、筍、百合根」です。
三の重は、基本的に一の重と二の重以外の種類を入れていきます。
うちの三の重の中身は、種類としては根菜を入れております。
本来三の重には、酢の物と煮物系の中身を入れますから、うちのは邪道といえば邪道です。
うちの場合は、くわい(慈姑)を一の十二入れておりますが、三の重に入れるのが一般的ですし。
我が家のおせち料理では、根菜を種類別に、単品料理として入れております。
これを、一気に短時間かつ効率的に済ませたい方には、根菜を一気に調理するという中身の作り方がありますよ。
それが「筑前煮(ちくぜんに)」という方法です。
うちの根菜類を観て頂ければ分かる通り、筑前煮の材料となる根菜ばかりであることが、読み取れる事でありましょう。
人参や大根、ゴボウ、蓮根など、筑前煮の材料ですからね。
一気に調理して、それを入れてしまうという方法は、おせち料理の三の重を、一気に完成させることが出来ます。
慈姑(くわい)や百合根は、個々に作らないといけませんが、それ以外は筑前にで一気に中身をこしらえる、という方法がある事を、覚えて置くと役立ちます。
おせち料理は種類があって作るのが大変だから通信販売で済ませるという場合でも、筑前煮だけは作っておくというのも、一つのおせち料理の形です。
毎年おせち料理をこしらえている身としては、味気ないし勿体ない気もしますがね。
年末年始も仕事で忙しい人には、ちょっとしたおせち料理気分を味わえる智慧で御座いましょう。

番外編的なおせち料理の中身と種類:海老フライと野菜類
うちのおせち料理について、三段のお重に詰める中身と種類は、上でお伝えした通りです。実は、うちでは番外編と言いますか、ちょっとしたおせち料理の智慧が御座います。
おせち料理って、うちは京都ゆえにということもあるでしょうが、結構薄味で、質素さも味わえる仕様です。
ただ、それゆえにか、子供達は結構飽きてしまうこともある、ということで、伝統的に「舌休め的な料理」も、おせち料理の時にこしらえるのです。
うちでは、この舌休め的な料理の下ごしらえは、私がせっせとさせて頂いておったり致します。
料理をするときは、仏教徒らしく、典座になった気持ちで、修行の如く。
このお堂(ブログ)は、仏教の話を主軸・メインにしておりますが、今回とおせち料理回については、仏教の話からは離れ気味です。
ここくらいは、仏教の話を絡めておきます、料理をするときは、禅寺の典座さんになった気持ちで、ということで。
その「舌休めお重」が、これです。

子供にも人気の中身、海老フライです。
おせち料理では、基本的に脂っ気の多い料理は御座いません。
おせち料理の中身と種類は、割とあっさり風味の薄味が聞いた料理が多いものです。
そのためか、もちろん個体差はありますけれども、子供にとってあまり嬉しくないメニューも御座います。
祝い物と言う事で、大人が食べるように施しますけれども、一つ食べればもう勘弁、ということもありますからね。
そういうわけで、うちでは個別性・オリジナルの智慧と致しまして、海老フライと鶏肉、トマトやキュウリやレタスと言ったおなじみの野菜を、おせち料理の舌休め的料理として作っております。
ちなみに、うちの親戚連中が、こぞって突っついて直ぐに無くなるお重が、これです。

「他のもきちんと食いなさいよ」と、突っ込みたくなりますが、折角のお正月、ここは生ぬるく見守る私で御座います。
うちのおせち料理について、中身と種類の分け方はあまり参考にはならんがメリットはあります
なんでしょう、この合理性、今自分でおせち料理の解説を写真付きでやってみて、おせち料理の種類分けや中身の入れ方について、何となく法則性が見えてきました。それも、我が家特有の。
油物を一カ所にまとめる入れ方は、本来的なおせち料理の中身と種類を分けた場合、邪道と言えば邪道です。
伝導を重んじて大切にしている割りには、それに気づくのが最近になってからだと気づきました。
ただ、効率と言いますか、メリットも御座います。
これね、洗い物が楽なんですよ。
油物を一つのお重にまとめておけば、洗うのが楽です。
そういうメリットはありますから、邪道ではありますけれども、そこまで拘らないのであれば、中身と種類の分け方を参考にされるのも、よろしいかと存じます。
毎年おせち料理の中身を教わりながら作る私からの提言
うちでは、現在はおせち料理を、三世代にわたって伝承していっております。祖母が健在だったころは、祖母からも受け継いでおりましたが、現在は祖母からおせち料理を受け継いだ母親と、姪っ子と、私の三世代でこしらえております。
京都の伝統的な味と、うちのオリジナルな入れ方ということで、中身はともかく、種類分けは参考にならなかったかも知れません。
それでも、トレンドアフィリエイトブログなどに観られる、コピーペースト的な話よりも、実物を写真付きでお伝えしている事から、雰囲気は味わって把握して頂けたかと存じますし、そうであれば嬉しゅう御座います。
現代社会においては、年末年始こそ忙しいという方も多いかと存じます。
そのような仕事に従事して下さる方々がいるからこそ、私達は安心して暮らしていけます、本当に有難う御座います、私は感謝して労いたい。
このような忙しい現代社会ではありますが、せめて舌だけでも、正月気分を味わいたい、という方も、いらっしゃることでありましょう。
そういうときは、今回紹介してきたおせち料理の中身から、せめて一品くらいはご自身で作成されるというのも、よき正月の過ごし方です。
例えば、一番簡単なおせち料理の智慧は、三の重に入れる中身である、筑前煮です。
通信販売であったり、黒豆を買ってきて突っつきながら、筑前煮で何となく正月気分を味わう。
年末年始が忙しい仕事についていらっしゃる方の、せめてもの正月気分、おせち料理気分となりましょう。
このように宣っている私ではありますが、今年は筑前煮もよいかな、と思い始める今日この頃に御座います。
合掌、礼拝