簡単おせち料理のレシピですと?お節料理を舐めてはいけません

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

前回は、おせち料理の中身と種類について、写真付きでお伝えしております。
おせち料理は、真剣に作るとなると、もの凄く時間と手間がかかります。



最近では、有り難い事にクックパッドなどで、簡単におせち料理をこしらえる事が出来るレシピも公開してくれていますね。

年末年始が繁盛記で、お忙しい方もいらっしゃる事でありましょうし、それらの簡単おせち料理レシピというのは、非常に有り難いものです。

年末年始がカレンダー通りで仕事が休みに入った人でも、大掃除で疲れていて、おせち料理を作るのがしんどい、という人もいらっしゃるでしょうし。



ただ、「簡単なおせち料理のレシピ」という概念そのものに、否定はしませんが、一方でこのように考えている、ということも、お伝えしておきます。

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おせち料理の簡単なレシピの智慧:筑前煮

おせち料理の簡単レシピと言えば、私は三の重に入れるであろう、根菜を何種類も使った料理を思いつきます。

鶏肉も入って、動物性タンパク質も摂取出来るという、栄養価も高いおせち料理の簡単レシピと言えば、もうおわかりかと存じます。



そう、「筑前煮(ちくぜんに)」です。



筑前煮は、作り方によっては1時間かかるものもありますが、一人でちゃちゃっとこしらえるならば、30分ほどあれば作る事が出来ますよ。

あくまで、うちの作り方ではありますが、わりかし簡単な部類だとは思いますから、うちの筑前煮のレシピを、お伝えしておきます。

調味料については、二人分を想定した調味料の量とします。

鶏肉は、下味を付ける場合もありますが、今回はあっさり風味にするために、下味はあえて付けません。



まず、鶏肉は適度な大きさに、人参と大根とゴボウと里芋を乱切りにします。

お好みで蒟蒻を入れても良いでしょう、低カロリーでカサがましますから、食べ応えが出ます。

具材を切り終えたら、里芋を一旦お湯で沸かして、ぬめりを取ります。

それが終われば、鍋に油を引いて鶏肉を炒め、色が変わって炒め終わったら、火が通りにくいゴボウを入れます。

ある程度しんなりしてきたら、人参と大根を入れ、だし汁一カップと、醤油とみりん大さじ一杯ずつ、砂糖と塩を少々入れます。

甘めが良い人は、砂糖を小さじ1杯か2杯に増やすと良いでしょう。

その後、落としぶたをして大体中火で20分くらいコトコト炊いて、野菜がしんなりと好みの硬さになり、味も染みこめば完成です。



料理の習慣があり、筑前煮を作る事が出来る人にとっては、無用の知識であったやも知れません。

正月気分を味わいたいなら、作った筑前煮をお重に入れて、おせち料理三の重として味わうと良いかと存じます。

おせち料理は簡単ではなく決して楽では無い:うちの場合

おせち料理は、現在は確かにクックパッドや、食関連のウェブサイトを調査することによって、レシピそのものは得られましょう。

それはそれで、忙しい人にとっては、有り難いものです。

年末年始が特に忙しい人は、上手に活用して、おせち料理を味わいつつ、年末年始の忙しさが人行く就くまでの間も、ちょっとしたお正月気分を味わって頂ければと願うところで御座います。



おせち料理の簡単レシピは、昨今の季節感が薄れるような忙しい日々において、非常に有り難い存在であることは、確かであります。

それは否定致しませんが、毎年、おせち料理を家族で協力してこしらえている身としては、一家言御座います。



おせち料理は、うちのように真剣にやりだすと、とても時間がかかり、手間もかかります。

やっている最中は手間だと思う暇もありませんし、私の場合は仏道修行の一環として、せっせと下ごしらえを進める次第で御座います。

途中で「有り難や有り難や、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」と称えながら。



おせち料理はを真剣にやり始めますと、さくっと簡単レシピどころか、日をまたぎます。

うちでは大体、数の子は塩抜きのために、お重に詰める数日前から冷たい水につけておきますし、黒豆も前の日から浸しております。

棒鱈だって、何時間も掛けてコトコト炊きますし、里芋もきちんとぬめりを取ってから料理しますし、油揚げも油抜きをしてから料理します。

蒟蒻だって、油抜きをきちんとしますし、火を使っている間は目を離しませんから、台所を離れられません。

もちろん、ちょっと便所に行ったりという場合は、複数人でおせち料理を作っていますから、誰か一人は火の番をしておりますがね。



うちの場合は、下ごしらえはおせち料理を作る前の段階から始め、おせち料理は一日がかり、重箱に詰めるのも一日がかりです。

少なくとも、二日間はおせち料理に身・口・意を集中しております。



更に言うなれば、舌がバカになる(味が分からなくなること)ようにならないために、調理中は味のある飲み物も食べ物も、一切口にしません。

味見の都度、水で口をゆすぎます。



おせち料理って、真剣にやり出すと、簡単では済みません。

故に表題で「おせち料理を簡単レシピですって?」と、そのような言い回しをしているのです。



決して、おせち料理の簡単レシピの存在そのものを、否定しているわけではありません。

ただ、「今年はしっかりやってみよう!」と意気込んでいる人は、簡単レシピに手を出したくなるかも知れませんが、それでもそんなに甘いもんじゃありませんよ、という注意勧告として、お伝えしております。

おせち料理は真剣にやると、レシピも結構手間暇かかるものですし、簡単では済まなくなりますから、舐めちゃいけません、甘くはありませんから。



黒豆や栗は甘いのですけれどもね。
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おせち料理を簡単レシピではなく手間暇、時間を掛けて作る事の効果

おせち料理は、真剣にやり始めると、簡単では無くなります。

簡単レシピで済ませるのも一つの智慧では御座いますがね。

私としては、年末年始が忙しい人の場合、それでも踏ん張っておせち料理を手作りしようという人の意気込みや気持ちを、大切にしたいものであります。



そうはいっても、忙しい目の前の現象に囚われてしまっている場合、やはり人は易きに流れやすいもの、クックパッドなどで簡単おせち料理レシピに飛びつきたくなります。

仏教では、とらわれるなと教えてはいても、娑婆世界・忍土で生きる凡夫の身では、なかなか難しいことも御座いましょう。



ただ私は、そういう忙しい日常だからこそ、時間や手間暇を惜しみたくなる身であるからこそ、お正月を迎えるに当たって、せめて一品くらいは手間暇を掛けたおせち料理を作ってみるのも良い物である、と頂いております。



おせち料理は、例えば黒豆でしたら、前の日から鍋に水を張って、浸しておきます。

ここからすでにおせち料理作りは始まっております。

また、黒豆は一度火を掛けると、結構時間を取られます。

レシピと言いますか、調理方法それ自体は簡単でも、時間が取られると言う事で、簡単ではなくなるという認識をしている人も、いらっしゃるかと存じます。



忙しい日の束の間の休息時間に、そんなことやってられるか、なんて思う人もいらっしゃる事でありましょう。

しかし、だからこそ、気づけることがあるのです。



手間暇掛けて、時間を掛けておせち料理を作るという行為には、「内蔵時間を延ばす」という効果が御座います。

「内臓時間」とは、退館する時間という意味で捉えて頂くとわかりやすいかと思います。

忙しい日々でしたら、「安近短」という概念が一時話題になったように、かける時間が短い方が良いという価値観が、身体レベルで根付いてはいないでしょうか。

乗り物が数分遅れただけで、怒りが爆発したり、そのような経験をした人も、いらっしゃるかもしれません。



自分の時間に対する概念をつぶさに観察して観れば、いかに内蔵時間、体感する時間感覚が短くなってきていることに、気がつくかと思います。

手間を掛けて料理を作る、おせち料理をゆっくりと時間を掛けて作るという行為には、内蔵時間を延ばすという効果があるのです。



仏道修行においては、坐禅や瞑想などを用いる事で、内蔵時間を増やす効果も御座います。

あくまで結果論ではありますがね。



在家において、仏道修行をしている気持ちで過ごしていれば良いのでしょうが、忙しい日常生活を送っていると、ついつい忘れがちになります。

そういった場合でも、せめて年末年始の時期くらいは、繁盛記の前の休息であったり、その後の一段落した時間に、内蔵時間を増やす意味も込めまして、おせち料理を時間を掛けて作ってみては如何でしょうか。



何品もでなくてよいから、せめて一品、上でお伝えした黒豆だけでも簡単レシピに頼るのでは無く、前の日から時間を掛けて準備しておくというのも、内蔵時間を延ばすよき料理の智慧に御座います。

簡単なおせち料理のレシピも良いけれど、せめて一品は手間暇掛けてみましょう

おせち料理のレシピとして、折角簡単なレシピがありますから、それらを上手に活用するのは、賢い方法ではあります。

ただ、毎年おせち料理を自作している私としましては、それはそれで結構な事でありますが、せめて一品くらいは、手間暇掛けて作るのも、宜しいのでは無いかと存じます。

手間を惜しまずに作った事によって、自分自身に対して「忙しいのによくやった」と思える事も御座いますからね。



もっとも、これに執着しすぎると、自己自慢になりすぎますから、すぐに冷ます必要はありますけれども。

仏教は、なかなかスッキリと着地させてはくれないものです。



それに、これは仏教者としての自覚がある私の場合ではありますが、やはり通信販売やスーパー、百貨店の既製品よりも、手作りしたおせち料理を仏壇に供えさせて頂きたい、という思いもありますから。



簡単なおせち料理のレシピに頼るのも、大いに結構。

最初の方でお伝えした筑前煮は、非常に助かる智慧でありましょう。



一方で、せめて一品はきちんと時間を掛けて作る事も、おせち料理を味わう妙薬となります。



仏教では、正月を「修正会」と言います。

修正会を迎え過ごすに辺り、禅寺の典座さんになったような気持ちで、おせち料理を一品だけでも手作りすること。

料理もまた仏道修行の一つとして、修行僧になった気持ちで作ってみると、良いかと存じます。

じっくり作りじっくり味わう事で、内蔵時間が延び、心穏やかに日常を過ごせる事に繋がれば、幸いです。



尚、おせち料理につきましては、簡単ではありませんがレシピの参考になる話と写真を、お伝えしております。

参照:「おせち料理の意味と由来|正月・修正会に味わいたい風習」

参照2:「おせち料理の中身と種類(写真付き)|私の実家ではこんな感じです」



これらの話を読んで頂き、今年は違った趣のおせち料理を楽しんで頂けましたら、大変嬉しゅう御座います。



合掌

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