有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
あなたは、お盆のお供え物と言えば、何を連想されるでしょうか?
お盆にお供えする物として、仏花・盆花がありますね。
毎年、盆花としてお供えする花であるキキョウが、東福寺塔頭寺院で見頃を迎え、新聞にも載ることが御座います。
それを観ると「そろそろお盆の準備を念頭に、仏花・盆花の事も忘れずに。」と思う人もいらっしゃるかと存じます、まあ、私がそうなのですが。
お盆にお供えする仏花・盆花は季節の花を
お盆にお供えする仏花・盆花や、お盆にお墓参りをする際に用意するお供え物について、どうすれば良いのか不安という人もいらっしゃるかと存じます。お盆にお供え物として用意する花は、現在でしたら花屋で「仏花」「盆花」として、束にして販売されていますから、迷うことも少なくなりました。
大体、500円くらいで丁度良いくらいのコンパクトな感じで誂えてくれていますから、便利で有り難い世の中になったものです。
マンション・団地住まいだったり、自宅スペースの関係で大きく飾れない場合は、花屋でコンパクトな仏花・盆花セットを購入しておくと良いでしょう。
私もお世話になっておったりします、ズボラだと言われたら反論のしようが御座いません。
お盆に仏壇やお墓にお供え物として飾る仏花・盆花は、上でお伝えしたキキョウや、ハス、リンドウ、オミナエシ、ミソハギ、ワレモコウなどがあります。
ご先祖様がお好きだった花や、季節の花をお供えしても良いでしょう。
ただし、腐りやすい花やとげがある花、あまりにも派手過ぎる装いの花などは控えましょう。
お盆という風習の空気に溶け込みにくいですし、とげがあったり硬い花ですと仏壇を傷つける要因になりますから、そういった実用面でも不具合が生じますがゆえに。
なお、浄土真宗では仏花・盆花をお供えする風習はあり、仏壇を正面から見て右側にローソクを、左側に花をお供えするのが習わしです。
この時、ご本尊が仏花・盆花で隠れないように注意しましょう。
ご本尊を隠すような飾り方をすると、注意されたり、中にはご機嫌を損ねられる方もいらっしゃいますがゆえに。
私も観ましてね、そういう人。
以前、真宗大谷派の寺院で御法話を聴聞する際、ホワイトボードで阿弥陀如来が隠れてしまったときに、ごちゃごちゃと不機嫌まき散らたご老人を目撃した事が御座いまして。
お盆のお供え物で、ご本尊が隠れてしまわないように注意してお供えしましょう。

盆提灯に見える鬼灯をお盆にお供えすると風流
お盆の季節になると、仏壇の前に盆提灯がならび、風流な光を灯します。盆提灯は、お供え物というわけではありませんが、お盆を象徴するお飾りの一つです。
盆提灯には「盆提灯の灯明により、祖霊が迷うことなく帰り着いて頂ける」という意味があります。
現在でしたら電気式の盆提灯が大体主流になっており、最近は蓮華を模した盆提灯やオシャレな和提灯など、デザインも凝ったものがありますね。
スペースをあまり取らないものでしたら、円筒形の盆提灯が活躍してくれます。
盆提灯をつるしたり飾る場所は、門前か精霊棚です。
出来れば門前に飾っておきたいところですが、それが無理なら精霊棚に飾ると良いでしょう。
マンション・団地暮らしだと、なかなか門前に盆提灯を飾るのも大変でしょうからね。
もしも、門前に盆提灯を飾っているような感じにしたければ、鬼灯(ほおずき)を代用すると言う智慧が御座います。
鬼灯は提灯のような形をしており、色も明るい色ですし、風流な感じも致しますし、盆提灯の代役にはもってこいの植物です。
門前か、それが難しいなら玄関、下駄箱の上などに鬼灯をお供えしておくと良いですよ。
尚、新盆・初盆のご家庭では、白い提灯を用意しておきましょう。
精霊棚のお供え物は真菰(まこも)のゴザや敷物の上に
いよいよ、本格的なお盆のお供え物についての話です。お盆で仏壇の前にお供え物を丁寧にお供えする場合、精霊棚(しょうろうだな)を作る必要があります。
私も毎年やってますが、この精霊棚を作る作業そのものが、なんか心穏やかになってくるものであるのは、私が仏教徒だからでしょうかね。
精霊棚の土台を調えたら、お供え物を載せるためのゴザなどの敷物を用意します。
敷物は真菰(まこも)と呼ばれる植物をゴザにしたものが有名ですね。
真菰(まこも)は、最近でしたら食物繊維が豊富な健康食品としても注目されています。
植物でありながらカルシウムが豊富で、ビタミンB群も含まれており、味覚障害予防に効果的な亜鉛も含まれている優れた植物だったりします。
精霊棚の上に真菰などの敷物を敷いたら、この時、位牌を精霊棚に移しておきます。
そしてゴザの上に仏花・盆花をお供えしたり、季節の野菜や季節の果物をお供えしていきます。
この時にお供えするものは、なるべく季節の物、お盆の季節に旬を迎える野菜が適しております。
また、祖霊・ご先祖様が現世で好きだったものをお供え物としてお供えするのも、ご先祖様を偲ぶことになりますから、お供えされると良いでしょう。
ただ、あまり重すぎて棚がひっくり返るような物は割けた方が良いでしょう。
どうしても乗せたいならば、大きめに作る事です。

お供え物をお持ち帰り頂くために、お盆定番のナスとキュウリ
お盆のお供え物、お盆の風物詩的なお飾りといえば、なんといっても「ナスとキュウリ」ですね。私も昔、「なんでナスとキュウリに割り箸をつけてお供えするの?」なんて思ったものです。
あなたも、精霊棚にナスとキュウリに足を付けて乗せたら「なんで茄子と胡瓜に足を付けてるの?」と、子供達から聞かれた事があるやもしれませんね。
この事については、既にご存じの人も多いでしょうが、ここで改めて復習用にお伝えしておきます。
キュウリをお供えするのは、往生された先から現世の自宅へ祖霊が戻って来られる際、出来るだけ早く駆けて来る事が出来るように、という願いが込められているからです。
そのために、キュウリを馬に見立ててお供えしているのです。
そして、細いキュウリと比べると、どっぷりした感じのナスをお供えするのは、お供えの荷物を持って、ゆっくりと帰って頂くためです。
どっぷりとした感じのあるナスは牛を模しております。
昔の人達は、ほんと、上手い事考えられたものですね、それが今や風流なお供えの形としてお盆に受け継がれているのですから、何か情緒なり風流を感じるものであります。
こうした、キュウリとナスをお供えする風習とその意味を、お盆に改めて感じて観られては如何でしょうか。
ちなみに、最近では「もっと速く帰って来る事が出来ますように。」と、玩具の新幹線や飛行機をお供えするお子さんもいらっしゃるとか。
伝統的なエトス(行為様式)ではありませんが、なんだか微笑ましいし、お坊さんも風習は風習で教えながらも、その祖霊への心遣いは大切にする説法をされるようです。
(ぶっちゃけ寺で聞きました。)

浄土真宗ではお盆に特別なお供えはしない。菩提寺の和尚さんに尋ねましょう
以前もお伝えしました通り、今回までのお盆の話、お盆のお供え物についての話は、あくまで私もさせて頂いております風習に御座います。浄土宗では、今回お話ししたような様式で、精霊棚を作ってお供え物や仏花・盆花をお供えしております。
そして、今回話したお盆のお供えの仕方やお供え物については、あくまで一例に過ぎない、と注意を付け加えておきます。
宗派や地域によっては、お供えの風習も様変わりします。
例えば、浄土真宗では精霊棚を用いるお盆のお供え方式はとっていない、とのことです。
少なくともお西さん、浄土真宗本願寺派では、精霊棚を用いて特別なお供えをする風習はないそうです。
果物や菓子をお供えすることはあるそうですが、特別なしつらえはなく、その辺りに浄土宗のお盆のお供え物をする風習とは違う様式が観られます。
お盆にお供えする料理、膳もお供えしないという宗派らしく、あなたの家の宗派が浄土真宗である場合は、特に菩提寺の和尚さんにお盆について詳しく尋ねておくと良いでしょう。
こちらでも、お盆について話をさせて頂いて降りますから、今回の表題と共に学んで頂けると、より理解を深めて頂けるかと存じます。
参照1:「お盆とは何か?意味を盂蘭盆経から学ぶ」
参照2:「お盆の期間はいつ?月遅れや新盆の話」
私としては、お盆を機縁として、改めてご自身の宗派を見直す、学んで観るきっかけになるのではないか、そのような事を考えます今日この頃で御座います。
合掌