有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
お盆休みを、あなたはどのように過ごされるでしょうか?
お盆休みと言えば、少し前の時期から「今年のお盆休みの期間はどれくらいかなあ。」「土日が重ならないと良いなあ。」なんて事を考え出すかもしれません。
私は、お盆休みの期間は粛々と静かに過ごし、特別に旅行に行ったり等は致しません。
浄土宗の檀家であり、仏教徒としての自覚が強くなってからは、お盆休み期間は更に静かに過ごすようになった気が致します。
お盆休み期間は、いつも出来ない旅行に行ける連休期間ですから、海外旅行に行ったり田舎に帰るのは否定しませんし、大いに楽しまれる事を応援する次第であります。
ただ、もしも海外旅行に行かれるにしても、田舎に帰りご両親や祖父母と共に過ごされる方にも、私はこのお盆休みという期間に、改めて共に考えたいと思う事が御座います。
現代だからこそお盆の意味を考える期間にしたいと思う事
突然ですが、常日頃からご先祖様や、色々なご縁について想いを巡らすこと、考える習慣が、あなたには御座いますか?例えば、食事を頂くときに「今日もこの1食を頂けて、大変感謝致します。」と、食事が出来るまでの労に感謝申し上げるなど、そのようなことです。
この「今日もこの1食を」の言葉は、実家の母親が特に毎日合掌しながら称えていた言葉です。
私は食前に、浄土宗の食前の言葉を称えさせて頂きますが、いつも「今日もこの一食を頂けて」という言葉を思い出します。
そして、ご先祖様や色々なご縁は、仏教徒としてのエトス(行為様式)をするご縁を賜りましたお陰様で、常日頃からしょっちゅう思い起こさせて頂いております。
朝に仏壇の前で合掌させて頂く時も、上でお伝えした食前食後でも、夕の勤行でも。
翻って、あなたはご先祖様や数多のご縁を想う習慣があったり、ご縁に感謝するきっかけとなるエトス(行為様式)が習慣づいた生活を送られているでしょうか。
私は、そのような習慣が無いことが、悪だと言いたいのではありません。
ただ、今の自分が存在できているのは、色々なご縁、そして何よりもご先祖様から伝承される直系家族としてのご縁があるからである、という事を、現代社会では忘れがちではないか、そのように思うのです。
私は「お盆という期間やお盆にまつわるエトス(行為様式・習慣)は、その事を呼び起こしてくれる風習であり、智慧となるエトスである」そのようにお盆を頂いております。
忙しくて、色々なご縁やご先祖様から伝わって今自分が存在しているという事を忘れがちな現代社会に、我々は生きております。
現代だからこそ、お盆休みは改めてお盆の意味からそれらの事を考える期間にしたい、私はそのように思うております。

日本にお盆休みという期間があって良かった
お盆休みの期間は、現代でしたら慌ただしく海外旅行の予定を事前に組んで、これまた慌ただしく旅行して終わり、という人もいらっしゃるでしょう。それはそれで楽しめれば結構な事ですし、そうすることで精神の安定が保たれるのであれば、よき功徳と言えるでしょう。
そのような現代において、私としましては、あくまで個別的な意見に過ぎませんが、お盆休み期間は出来るだけ家族と過ごしたい、そのような事を考えております。
そもそもとして、お盆は祖霊を送り火と迎え火で送り迎えするという風習があり、仏壇や仏間があるご自宅では、仏壇の掃除や精霊棚のお飾りをさせて頂くことになります。
「お盆って何?」と、子供にお盆とは何か意味を聞かれたら「ご先祖様に有難うと言う日だよ。」と、伝承する人もいらっしゃるでしょう。
そういう話をする際に、家族一緒に仏壇の守をしている光景を子供達に伝承したり、お盆にまつわるエトスからご先祖様を敬う心を考えるきっかけにするというのはどうでしょうか、と思うのです。
もちろん、家の宗派が浄土真宗だったり、仏教ではなかったりと各ご家庭で事情はあるでしょうから、一概には言えません。
浄土真宗や親鸞聖人、蓮如上人の教義やそれに基づいたエトスは、私はそれはそれで尊いと頂いております。
その尊びがあるからこそ、東西の本願寺で毎日開かれている御法話に、ちょくちょく顔を出しているくらいですから。
精霊棚をお飾りしないというのも、これはこれで一つの在り方ですからね。
ただ、宗派によってエトス(行為様式)は違うとしても、少なくともお盆という季節・期間は、家族でご先祖様を想う期間であっても良いのではないか、そのような想いが御座います。
お盆休みという期間は、休みだから多少なりともゆっくり出来る時間も増えるでしょうし、家族皆でご先祖様を想いながら過ごす期間にするというのも、風流なお盆の過ごし方です。
そして何より、お盆休みという期間が、ご先祖様と現世に生きる我々とのご縁を、改めて考えるきっかけになります。
このような、ご先祖様とのご縁を考えるきっかけを頂けることを思うと「日本にお盆という概念が、お盆休みの期間があって良かった」そのように思う次第であります。
お盆休みと言えば、学校が休みだったり会社が休みの期間という見方ばかりされがちな現代社会ですが、このようなお盆休みの捉え方は、如何でしょうか。
お盆休みがお盆であるゆえんはエトスに感じる
私は、仏教徒云々抜きにしても、お盆休みの期間というのは、何かこう、独特の雰囲気や空気感というものを覚えるものです。場や期間の空気感と言いますか、例えばお寺や神社に行ったときに、神聖な感覚が芽生えるとか、そんな感じです。
あなたにも、お盆休み期間中に、なんだかそんな感じを覚えられたことってありませんか?
私は、このような不思議な感覚に浸ることがある理由の一つに、
:お盆にする事、エトス(行為様式・風習)
があるからである、と考えております。
科学的根拠があるわけではなく、これはあくまで私が感じている事、感性の話ですがね。
まず、お盆休みの前、少なくとも13日の夕方になるまでに、うちでは仏壇を掃除してから精霊棚をお飾りさせて頂きます。
これはうちのオリジナルだと思いますが、玄関に近い廊下にも焙烙を置いてお香を焚きます。
そして、お盆期間中に菩提寺の和尚さんに御経を上げて頂き、16日の夜には京都の大文字、五山の送り火中継を観ながらお盆期間が終わっていくのを感じます。
参照:「京都の五山の送り火が雨天でも中止しない事に観るエトスの伝承」
京都の五山の送り火は、穴場スポットや5つ全て見えるスポットもありますが、ここ最近はもっぱらKBS京都の五山の送り火中継で済ませているのは、私の反省点ではあります。
船岡山公園からでしたら4つの山を観られますし、出町柳辺りでは5つ観られるところもあるのですがね。
ちなみに、五山の送り火をKBS京都の中継で眺めるのは、「はんなりギロリの頼子さん」の頼子さんと同じ過ごし方と言う事です。
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お盆休みの期間は、お盆独特の風習を実際に執り行う事で、お盆のエトス(行為様式・風習)を実践する事になります。
そのエトスを通して、身体的に「ああ、お盆だ」という事を感じ取っているのではないか、最近は特にそのような頂き方をするようになりました。
うちでは、お盆にはきっちりとお盆のエトスを家族でするから、より強くお盆休みの期間に、お盆らしい感覚を味わえているのだと実感しております。
お盆のエトスを私に伝承してくれて、パトス(情緒・精神性)を育んでくれた家族とご先祖様達に、ただただ感謝申し上げるばかりです。
このような体験を通し、エトス(行為様式・風習や習慣)という概念そのものは、釈徹宗さんの言葉を拝借しているのですが、私はこのエトスは侮れないと実感しております。
エトスの参照:「釈徹宗さんの講演in大谷大学「真宗とエトス」」
お盆にはお盆のエトスを実際に執り行うからお盆の雰囲気を感じる事が出来る。
それが「味わう」「風流」に繋がっている、そのように実体験から感じるのです。
お盆休みは、確かに海外旅行なり、普段は時間がなくて出来ない事をやったり行けないところに行くのも良いでしょう。
ただ、せめてお盆休みの最終日は、日本のお盆を味わうというのも、風流ではないか、そのように思う今日この頃であります。
お盆の味わいを深められるよう、お盆に関する情報をこちらにまとめております。
参照:「お盆の情報まとめ」
お盆休みの期間に、エトスを通してお盆の感覚を味わってみる、そういうお盆休み期間の過ごし方も、風流だと思いますが、如何でしょうか。
合掌