正月飾りはいつからいつまで飾るのか|門松と鏡餅と掛け軸について仏教と祖父母から教わった話

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

大掃除の時期には、正月を迎える準備として、正月飾りもせっせとこしらえる時期であります。
正月飾りの代表格と言いますか、有名どころといえば、門松としめ縄、鏡餅や掛け軸といったところでしょうか。

うちでは、母方の祖父が掛け軸を自作されていて、毎年床の間には正月に相応しいであろう掛け軸をかける習慣が御座います。

正月になりますと、車の前部分にみかんをくっつけたしめ縄をくっつけている人も、多いかと存じます。



では、正月飾りはいつからいつまで飾るものか、ご存じでしょうか。



その言われを、禅僧と今は浄土にいる祖父母から教わっておりますから、その事をお伝え致しましょう。

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正月飾りはいつからいつまで飾るものか:門松の場合

正月飾りと言えば、門松や松飾りを最も連想しやすいかと存じます。



うちは室内用の門松を、廊下に飾っておりますよ。

現在は、ミニチュア版の門松もあるようで、手軽で安価に門松・松飾りを設置できるようになり、有り難く便利になったものです。

本心を言うと、伝統の技や伝統そのものの継承のために、厳かな門松を玄関におきたいところですがね。

うちの前の道路交通上、それが出来ないので室内の門松・松飾りで手を打っております。



それはさておき。



正月飾りの定番、門松はいつからいつまで飾っておくべきか。

これについては、禅僧の本や、他宗派の僧侶から教えて頂いたから、お伝えする事が出来ます。



門松の設置はいつからか、と申しますと、煤払いの日である12月13日からです。

この12月13日からの事を、「正月事始め」「松の内」と言いまして、12月13日からでしたらいつでも設置して良い、というのが風習です。



ただし、設置するのは避けた方が良いとされている日もありますから、それについてもお伝えしておかねばなりません。



門松は、いわれはわかりませんけれども、クリスマスの日は避けるという話が御座います。

これについては、日本人の宗教観として、曖昧さも魅力だと私は勝手に感じておるから、そこまで神経質にならんでも、と思うのですがね。

厳かに、より厳密にしたい場合は、覚えて置くと良いでしょう。



大掃除の時期である年末にも、避けるべき日が御座います。

門松以外の正月飾り全般に言えますが、門松・松飾りを設置する場合、避けるべき日が御座います。

それは、「12月29日」「12月31日」です。



12月29日は、「二重苦」ということで、頃が宜しくなく、避ける日とされています。

また、これは門松・松飾り限定の話ですが、「苦待つ」と、苦を待つ事になるといういわれから、特に門松・松飾りは避ける風習が御座います。



また、31日に出すのは、「一夜飾り」または「一日飾り」と言いまして、年神様をおろそかにしている、軽視していると言う在り方と言う事で、忌み嫌われております。

この辺り、無神論者であったり、宗教に馴染みがないと、あまりピンとこないかもしれません。

一夜漬け、付け焼き刃のやっつけ仕事的なお迎えをされると、「なんか疎かにされてるな、歓迎されていないな」と、感じる人も多いかと思います。

31日に慌てて正月飾りを出すという行為は、それを年神様にしてしまっている、ということです。



こういった語呂合わせや言葉の力、言霊の考え方を大切にしてきた、日本らしい風習であるという味わいを頂いております。



正月飾りの門松・松飾りはいつか飾るのか、と言うと、12月13日からなら、上記の二日間を除けばいつからでもよい、という事になります。

ゆえに、大掃除に合わせて飾りたいなら、12月28日か、どんなに遅くても12月30日までには飾っておきたいものです。



では、いつまでか、と申しますと、松の内と言われる期間の終わりである、1月15日までです。

正月は1月15日まで、という前提知識があれば、ピンと来た人もいらっしゃるでしょう。

七草粥の風習や、現在は1月7日まで短縮されている風習も根付いているために、迷う人もいらっしゃいましょう。

飾り治めが1月7日としている風習は、地域によっては確かに存在しますから、私はどちらでも良いと考えております。

地域の風習との兼ね合いを考えて、1月7日に片付けるか、1月15日まで飾っておくか、決められると良いでしょう。



ゆえに、門松・松飾りはいつまで飾っておくか、の答えは、1月15日までか、短くする場合は1月7日まで、と覚えて置くと良いでしょう。

それ以降も飾りっぱなしにするのは、間延びしているといいますか、単なるものぐさだと観る人もいますから、ご注意をば。

正月飾りはいつからいつまで飾るのか:鏡餅の場合

正月飾りの鏡餅は、いつからいつまで飾るのか。



最近の鏡餅は、昔のように本物の餅を重ねたものではなくて、プラスティック製の便利で腐らない、カビが生えない作りになっています。

うちでも、このような鏡餅を飾るようになりました。

サトウの丸餅が入った、サトウ製の便利な鏡餅です。

まあ、メーカーはあなたのお好みで良いとは思いますがね。



正月飾りの定番である鏡餅を、いつからいつまで飾るかと言いますと、飾り始めは門松・松飾りと同じと考えて結構です。

どんなに遅くても、12月28日には飾っておくことが望ましいでしょう。

どうしてもそれ以降になる場合は、せめて29日と31日を避けた、12月30日にすべきです。

12月31日に飾るのは、これまた「一夜餅」と言われて、年神様が31日の朝にいらっしゃるのに、遅れてお出しすることになりますから、避けるところであります。



いつまで飾るかと申しますと、これは地域によってまちまちなのですよ。

1月15日が鏡開きという地域もあれば、1月7日に鏡開き、という地域もあります。

私が住まう京都府の地域では結構早めで、1月4日に鏡開きをする地域が御座います。



なんにせよ、餅は食べ物ですからね、出来るだけ早めの方が良いでしょう。

一番早い時期で1月4日ですから、それに合わせるというのも、食べ物を軸と考えた賢い智慧で御座います。

正月飾りをいつからいつまで飾るのか:浄土真宗の修正会の話

さて、お坊さんの話を色々と聞いてきた事も有りまして、仏教における鏡餅のエトス(行為様式・風習)についても、お伝えしておきましょう。

ここからが、仏教者・仏教徒でお坊さんの話を聞き続けている者の本領発揮です。



仏教では、神頼みをしませんし、特に真宗・浄土真宗では吉凶であったり語呂合わせに惑わされることは御座いません。

知識としてはあっても、エトス(行為様式)には、それが反映されていないことが多々御座います。



正月を仏教では「修正会(しゅしょうえ)」と言いますが、鏡餅を飾るエトスはあります。

でも、いつから飾るか、と申しますと、上でお伝えした「一夜餅」もなんのその、12月31日の朝勤行(おあさじ、といいます)を終えてから、夕方の勤行までの間です。

ちなみに、12月31日に行われる夕勤行は、「歳末昏時」と言います。



そして、鏡餅をいつまで飾るか、と申しますと、1月4日までです。

この辺り、正月ではなくて、あくまで修正会の一環として行われている事が分かります。

我々が三が日と言う期間の最後、1月3日まで鏡餅を飾ったら、1月4日にはお汁粉や善哉などにして食べます。

ちなみに、鏡餅を飾り終える事を、「控える」と言います。



家の宗派が真宗・浄土真宗だという場合は、一度、修正会に合わせて見るのも、良いかも知れませんね。

餅を味わいながら、家の宗派を味えるかも知れませんよ。



余談的な話をしますが、そういえば、除夜の鐘がうるさい、というクレームがあるとかないとか。

私は、除夜の鐘を聞くと「風流だなあ。」と感じますが、風流どころか耳障りだと感じる人も、いらっしゃるのかもしれませんね。

人それぞれ、一つの事に感じ方は千差万別ですから。

正月飾りはいつからいつまで飾るのか:掛け軸の場合

正月飾りは、いつからいつまで飾るのがベストな期間であるか。

最後は、掛け軸についてお伝えしましょう。

うちでは、母方の祖父が、生前に趣味で掛け軸を作ってくれていましてね、今も床の間におわします。

ゆえに、正月飾りを三つ答えなさい、というお題を出されたら、「掛け軸、門松、鏡餅」と、語呂の良い返答を致します。



正月用の掛け軸と言えば、正月用の御言葉が書かれている掛け軸であったり、一富士二鷹三茄子にちなんだ掛け軸でったり、初日の出の掛け軸であろうかと存じます。

うちでは、なんだか正月っぽいかなあ、という絵柄の掛け軸にしております。



正月用の掛け軸は、いつからいつまで出しておくかと言いますと、これも門松・松飾りや鏡餅と同じでよろしいでしょう。

正月飾りは、出すときは一緒に出して飾り、しまうときも一緒のタイミングで、差し支え有りません。



お正月くらいは、床の間のある部屋で、掛け軸を楽しみつつも、おせち料理も楽しむというのが、なかなか乙な過ごし方だと思いますが、如何でしょうか。

おせち料理については、こちらにおせち料理にまつわる意味や由来と、ちょっとしたレシピについて、お伝えしております。



参照:「おせち料理の意味と由来|正月・修正会に味わいたい風習」

参照2:「おせち料理の中身と種類(写真付き)|私の実家ではこんな感じです」

参照3:「簡単おせち料理のレシピだと?お節料理を舐めてはいけません」



お正月を、優雅で穏やかに過ごして頂ければ、嬉しく思う今日この頃に御座います。

合掌

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