もったいないおばけともったいないばあさんの有り難さ

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

前回は、「もったいない」という言葉について、仏教の話や蓮如上人の話も交えてお伝え致しました。
485187 私は最近、新刊では手に入らない本を古本屋で購入することがあるのですが、その中に「もったいない本舗」というお店が御座います。

もったいない本舗さんから何度か仏教関連の本を低価格で提供して頂き、感謝しておる次第で御座います。



「もったいない」という名前の付くものとして、有名なのが「もったいないおばけ」と「もったいないばあさん」ですね。

私は、この「もったいないおばけ」「もったいないばあさん」は、仏法を学べる世界観を有している、そのように味わいを頂いております。

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もったいないおばけのCMと現在の「もったいない」のCM

私が子供の頃は、「もったいないおばけ」のCMが流れておったものです。

本当は、そのCM動画を掲載すれば良いのでしょうけれど、申し訳ありません、ACJAPANさんに広告作品の二次使用についての許可を頂いておりませんから、掲載できません。

現在でしたら、YouTubeなどの動画サイトで確認することが出来ます。

アップロードしている人達は、恐らく二次使用の許可を頂いている人達なのでしょう。



ちなみに現在は、「言の葉の庭」「君の名は」の新海誠監督による、NHKとACJapanの共同キャンペーンCM「もったいないで明日は変わる」が御座います。

私、新海誠監督の作品が大好きでして。



話を戻しましょう。



私が子供の頃に流れていた「もったいないおばけ」のCMでは、人参や大根が嫌いで、残してしまう子供達に、夜「もったいないおばけ」が子供達を取り囲みます。

「もったいなーい、もったいなーい」と言いながら取り囲み、最後は子供達が「怖いごめんなさーい」と言って、その後は食べ物を粗末にせず、残さずに食べるようになります。

これは、食べ物に関する「もったいない」ですが、道具についても応用して戒める事が出来るCMですね。



もったいないおばけとは、こうした「もったいないおばけのナラティブ(物語)」は、子供にとっては「もったいない精神」を育む養分になると思うております。

新海誠監督のもったいないCMは、綺麗で良いのですが、恐ろしさはありませんし、そういった強烈な印象を子供に伝えるには、やはり「もったいないおばけ」の方が印象的です。

個人的に、「もったいないおばけ」のCMを、デジタルリマスター版で流してくれたらなあ、なんて願望を持っておったりしております。
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もったいないおばけと付喪神に学ぶ「もったいない精神」

もったいないおばけは、「おばけ」であり、妖怪変化の類いと思われる概念です。

ただ私、「もったいないおばけという教訓のナラティブ(物語)は、付喪神という物への畏怖の精神性も感じられる」と、勝手に妄想したことがありました。

付喪神と言えば、最近でしたら付喪神のバトル漫画「つぐもも」などがありますから、それで知っている人もいらっしゃるやもしれませんね。



そこで、少し調べて観たところ、妖怪論やシャーマニズム、また民間信仰を研究されている民俗学者の小松和彦さんが、色々と本も出されている事を知るに至りました。



もったいないおばけは、
:もったいない事をしたり物を粗末に扱うと罰せられる
という、物を粗末に扱ったときの罰則なり恐怖の象徴という印象があります。



一方で、「付喪神(つくもがみ)」は、物を大切に長年使い込む事により、その物に神が宿る、という神々しさや畏怖の念が、私には感じられます。



この辺り、長年生きた動物、猫又などの「つくもがみ」や、道具由来の妖怪変化・怪異としての「つくも神」は、また別だそうです。

仏教では、神仏や妖怪などの信仰は御座いませんし、この辺りについては歴史に詳しい人の方が知っていらっしゃるでしょう。

「つくもがみ」は、「陰陽記」「伊勢物語」に出てくる言葉でもあるらしく、そちらの宗教なり信仰に寄っていると、私は観ております。

「融通念仏縁起絵巻」にも、付喪神は登場するから、浄土仏教とも無関係では無いのではないか、とも思えるのですがね、その辺りは私は無学なので、申し訳御座いません。



小松和彦さんの著書「異界を覗く」に、「もったいないおばけとつくも神」という副題がついていますから、そちらが参考になります。

詳しく知りたい人は、現在は、もったいない本舗などの古本屋でしか手に入らないようですから、図書館で読むなりされると良いでしょう。



私は、この「もったいないおばけ」や「付喪神」の信仰やナラティブ(物語)は、もったいない精神を育む上で、凄く重要な文化だと味わい、頂いております。

付喪神や妖怪変化、おばけの類いって、教訓や戒めなり、子供達への安全装置としての役割も担っていたように思えるのです。



仏教では、確かに迷信や妖怪変化の類いを信仰したり信じたり、惑わされて迷うことを戒めております。

しかし一方で、物事を適切に育て、その人を育むための「対機説法(たいきせっぽう)」方便も御座います。

子供達を導くために、もったいないおばけや付喪神の伝承なりナラティブ(ナラティブ)は、方便として改めて復活して欲しい、そんな気が致します。
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もったいないばあさんから禅的生活を学べる

私の子供の頃は、もったいない事をした場合、もったいないおばけを知っている大人なら「もったいないおばけがでるぞ」といって、戒めていたでしょう。

現在では、絵本の「もったいないばあさん」から「そんな無駄遣いして、もったいないばあさんがくるよ!」というしかり方がなされるやもしれませんね。

「もったいないばあさん」とは、真珠まりこさんが出されている絵本です。

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もったいないおばけが最早引退したと言っても良い昨今、新たなる「もったいない文化ともったいない精神」を育んでくれるおばあさんの登場は、私はなんとも嬉しく思うところで御座います。



もったいないばあさんは、何かもったいない事、例えば歯を磨いているときに水を出しっ放しにしていると、突如現れて叱ってくれます。

多分、頭を洗っているときにシャワーを出しっ放しにしていても、「もったいない」と言って叱ってくれることでしょう。



禅寺では、行住坐臥全て修行であり、お風呂に入るのも修行でして、使うお湯の量も決まっているという話を、禅僧の本で何度か読んだことがあります。

シャワーが禅寺にあるかどうかはお寺に寄りけりでしょうが、水を出しっ放しにしていたら「喝!」と叱られるでしょう。

そういった意味を見出すと、もったいないばあさんは非常に禅的生活の実践を助けてくれる存在だと言えますね。



また、もったいないばあさんは、「物を使い切る暮らし」「見立て」の名人でもあります。



例えば、柚子風呂の感覚なのでしょうか、蜜柑の皮で蜜柑風呂にしたり、どこにでもありそうな笹の葉っぱで笹舟を作って風流を感じたりする事も教えてくれます。



更に、「いただきます」についても、1巻使って教えてくれており、この辺りから私は「もったいないばあさんは仏法を説くおばあさま」という見方を致しました。

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他にも「もったいないばあさんとてんごくとじごく」という表題(タイトル)の巻まであります。

「往生要集」の簡易版かと思いたくなるような表題です。



これ、仏教の話である「長い箸」を題材にしているから、直接的に仏教・仏法を学べるエピソードだったりします。

作中では、箸をスプーンに置き換えられておりますが、この辺り、宗教色を前面に出しすぎない配慮なのだろうと、私は勝手に妄想しております。



この話で登場するもったいないばあさんは、「利他行」「布施行」を教えてくれていると、私は味わいを頂きました。



おばあちゃんの知恵袋と共に、絵本でわかりやすいけれども宗教色が色濃くない、それでいて仏教・仏法に触れる事が出来る、という、なんとも有り難き趣がある絵本だろうか、と私は味わったもので御座います。

これ、子供向けにみえますけれども、大人も読むべきではないでしょうかね、特に消費社会・使い捨て社会になれきってしまっている現代の大人達は。

もちろん、私も含めてですが。



これを子供と一緒に読んだ人の中には、子供から「電気付けっぱなし!もったいないばあさんが来るよ!」と、戒められるようになったと言います。

子供から指摘されると「うるさい、このクソガキが!」と、反発されるかも知れませんが、もったいないばあさんから学んだ子供から学ばせて頂いていると、味わいたいものですね。
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もったいないおばけともったいないばあさんの有り難さを大切にしたい

もったいないおばけやもったいないばあさんは、物を大切にする事を教えてくれるナラティブ(物語)だと、私は頂いております。

私の頂き方としては、もったいないおばけは物に対する畏怖の念を、もったいないばあさんは、物を大切にする智慧を教えてくれる、そのような味わいを感じております。



物を粗末にすることを悪業とする教えとして、もったいないおばけというナラティブ(物語)も、ブレーキとして必要です。

そして、物を大切に使い切るという物語(ナラティブ)のもったいないばあさんがいることで、更に物を大切にしていく精神が育まれる、私にはそのように思えるのです。



「もったいない」の教化について、我々にはすでにこのような素晴らしいナラティブ(物語)を、頂いており、非常に有り難いとおもう次第であります。

お子さんがいらっしゃるなら、お子さんと共に学びたいと、思われませんか?



子供向けと思えるようで、侮ることなかれ、童話や絵本、一見子供向けに作られているものから学べる事、味わい頂ける仏法があります。

もしかしたら、そのような受け取る側の感性を磨く事が、もったいない精神と文化を継承し育む一歩目かもしれません。

感性を磨く一歩目として「もったいないの意味」、つまりロゴスから学ぶならば、こちらに用用意して御座います。

参照:「もったいないの意味と精神性」

合わせてお読み頂ければ、より理解を深めて仏法に触れて頂けるかと存じます。



合掌

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