有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
あなたは、マインドフルネス瞑想をご存じでしょうか?
マインドフルネス瞑想とは、最近では色々な本も出回っておりますし、いわゆるワークショップも御座いますね。
最近ですと、Google社も取り入れられていて、シリコンバレーも注目、というような話題もあったものです。
最近でしたら、マインドフルネス認知療法やマインドフルネス低減法といった、医学療法としても用いられている概念であります。
私も睡眠障害やうつ病等の治療で通院していた時に、行動認知療法やマインドフルネス認知療法というものがあると、ドクターから教えて貰った事が御座いました。
現在は、マインドフルネス瞑想とは心理療法として用いられることもありますし、効果も報告されております。
いつしかNHKの番組でも、キラーストレスのためのマインドフルネス瞑想が紹介されていて、話題にもなったことがありました。
マインドフルネス瞑想とは何か、その効果とは何かと、気になる人もいらっしゃるのではないかと存じます。
マインドフルネス瞑想とは
マインドフルネス瞑想とは、一体何なのか?まず、そもそもとして「マインドフルネス瞑想とは何か」を、知る事からです。
マインドフルネスという言葉は、仏教に関連がありまして、それゆえに私も今回の表題としてあげさせて頂いております。
「マインドフルネス」とは、パーリ語で「サティ(sati)」の事で、日本語で言うならば「念(ねん)」の事です。
「念」とは、念力だとか怨念だとか、サイキックな話を連想する人もいらっしゃるでしょうが、「注意深さ」とか「気づき」という意味の言葉です。
「念」については、仏教では悟るための道筋を示した「八正道(はっしょうどう)」の一つ「正念」と結び付けられて、マインドフルネス瞑想は、正念の行という言われ方もしますね。
ただ、このことについて私は、浄土教・浄土仏教や浄土系の宗派の僧侶から学ばせて頂いた事から、思う事が御座いますが、それはまた後ほど。
マインドフルネス瞑想とは仏教と親和性があるが宗教色を観じない瞑想法
マインドフルネス瞑想とは、仏教とも関連があり、宗教色を感じる事もありますが、現在は宗教色をあまり観じない瞑想法として伝わっております。このあたり、ヨーガ(ヨガ)とも似ている広まり方かもしれません。
瞑想法は、元々仏教、とりわけ上座部仏教や原始仏教の色が濃い仏教の瞑想法に由来しており、ヴィッパサナー瞑想・サマタ瞑想などがあります。
それを現代風にアレンジして、尚且つ宗教色も薄めたというのが、マインドフルネス瞑想であろうと、私は考えております。
この辺り、お坊さんの本でマインドフルネス瞑想を学んだ人だと、ご存じであろうかと思います。
マインドフルネス瞑想とは、心を観察(かんざつ)すること
マインドフルネス瞑想とは何か、について、言葉の意味や由来をお伝えしてきました。では、マインドフルネス瞑想とは、具体的にどのようなことであり、どんな概念なのか。
マインドフルネス瞑想とは、一言でいうと「心の観察(かんざつ)」です。
観察は、仏教では「かんざつ」と読みます。
「安心」は「あんじん」と読んだり、「選択」は「せんちゃく」と読んだり、仏教語・仏教用語を学ぶと、現代使われている読み方と発音が違う事に気がつきます。
そもそも瞑想とは「止観」という意味があり、心を止めて心を観察するということから、「止行」と「観行」があります。
私は、マインドフルネス瞑想にはこの「止観」という事、「止行」が欠かせないと、考えております。
心は「コロコロ」が語源・由来であると言われている通り、コロコロと動き回っております。
特に「よく考えて行動しなさい」と言われて育ってきた人や、思考する癖が付いている人は、常に頭は思考中であり、心も連動してコロコロと動きまくっているという状態にあります。
実際にそのような自覚があるならば、やって頂くとわかると思いますが、じーっと座っていたら、頭の中はごちゃごちゃと雑念なり考え事が巡る事に気がつかれるでしょう。
そうすると、その考えた事によって心・精神もコロコロと動きます。
嫌な事を思い出したりすれば、そこに二念・三念を継ぎながらまた考え続けて、怒り出したりします。
私は、精神疾患が最も酷かったとき、勝手に考えて心がコロコロどころが激しく乱れまくって、途端に机をひっくり返したり机を叩きまくった事さえありました。
じっと座っていたのに、止観・瞑想を知らなかった時代には、心・精神が乱れまくって勝手に一人で暴れるという有様でした。
現在は、まだ不安定な時はありますが、だいぶ不安定になる周期も頻度が緩み、落ち着いていられるようにはなりましたがね。
これは丁度、仏教と再開して、禅寺で坐禅を教わり、その一環でマインドフルネス瞑想についても学ぶようになった時期と被ります。
ゆえに、坐禅やマインドフルネス瞑想の影響が、私が落ち着いていられる事に作用したことと、無関係ではないと私は考えております。
ちなみに、坐禅とマインドフルネス瞑想とは、親和性はあっても突き詰めていくと違うのではなかろうかと私は思うのですが、その辺りの詳細は分かりかねます。
申し訳ありません、その辺りは、禅宗のお坊さんに各々で伺って頂ければ幸いです。
私も、今度禅宗のお坊さんと話をさせて頂く機会が御座いましたら、伺っておきます。

マインドフルネス瞑想で心を止めて観察する事で、心を調えられる
ちょいと話が逸れてしまいましたね。話をマインドフルネス瞑想に戻しましょう。
マインドフルネス瞑想で心を止めて観察する事で、一体どのような効果があるのか。
マインドフルネス瞑想とは、心を止めて観察するという事であり、激しく揺れ動く心を落ち着かせる効果があります。
仏教では、効果や功徳を求める教えではありませんが、マインドフルネス瞑想は宗教色を薄めているから、その辺りは寛容に捉えると良いと思います。
この、心を止めて観察するという事は、色々な効果をもたらしてくれます。
その一つに、マインドフルネス認知療法やマインドフルネス低減法のように、心に良い形で作用する、という効果が御座います。
このことについては、実際に心理療法の分野で、ストレス低減効果が報告されておりますし、マインドフルネス認知療法・マインドフルネス低減法という形で取り入れられている事からも窺えます。
行動認知療法としても、集中力を高める効果として、マインドフルネス瞑想の概念や方法を取り入れた「マインドフルネス統合認知行動療法」という医療法も開発されていますね。
また、マインドフルネス瞑想とは、「心を止めて観察する」という事から、ついついカっとなってしまって、衝動的に不味い事をやらかす可能性も減ります。
このことは、私の場合も体験的に体感しております。
「あ、今嫌なことを思いだしている自分がいる。」「今、衝動的に机をひっくり返したくなるような暴力的な心が顔を出した。」と、そのように己の心に気づけるようになります。
これは、職場でしたら無用なトラブルを避けることに直結しますから、マインドフルネス瞑想の良い方向となる効果と言えるでしょう。
チームで仕事をすることがあるのが会社組織ですから、Google社やシリコンバレーの企業が、こぞって取り入れるのも頷けます。
心を止めて観察し、自己を内観するマインドフルネス瞑想が、注目されるのは必然であったような、そんな気も致します。

マインドフルネス瞑想と正念の前に
マインドフルネス瞑想とは、言葉や概念としては「正念」の実践であり、その効果についてもお伝え致しました。マインドフルネス瞑想は、臨床実験や医療現場において、色々と効果効能が報告されています。
その関連から、仏教に触れたり仏法を学びに行かれる人もいらっしゃるようで、仏教者・仏教徒としては大変有り難いことだなあ、と言う味わいを一方で持っております。
ただ、これは私への反省や自戒も込めての事ですが、マインドフルネス瞑想と八正道を結び付けて考えるなら、この事も考えたい、という事柄が御座います。
「八正道」は、最初が「正見(しょうけん)」と言いまして、正しく観る事を仏教では説いて下さっています。
八正道は、八つの道の順番・道筋も大切でありまして、今回お話し致しましたマインドフルネス瞑想の概念は「正念」であり、七つ目のことなのです。
この辺り、私は「正見無くして正念を始める」という見方も一方でしておりまして、それに伴う不具合も見出しております。
私に到っては、浄土教・浄土仏教者という事もあると思いますが、「正見」からすでにままならない、煩悩具足の凡夫であるという自覚を常にさせて頂き、思い知らされてばかりであります。
マインドフルネス認知療法やマインドフルネス低減法などは、副作用も少なくて効果も報告されてはおります。
マインドフルネス瞑想も、最近では気軽に参加出来るワークショップも開かれており、身近なものとなりました。
ただ、「正見無くしていきなり正念から始める」という事を考えると、副作用とまではいかないまでも、少々具合の悪いこともあるかもしれない、そのような懸念も御座います。
正見なくして独りよがりのマインドフルネス瞑想となれば、禅で言う「野狐禅(やこぜん)」に陥らないか、という事が懸念されるのです。
今回は、マインドフルネス瞑想とは何か、について、私がお坊さんから聞いた話や、お坊さんの本で学び、実際に私も体験した事をお伝え致しました。
それらを踏まえた上で、マインドフルネス瞑想を実践される場合は、「正見」から始めるという事も意識されてみては如何でしょうか。
マインドフルネス瞑想を始める場合は、ワークショップに参加するなどして、指導者のもとできちんと指導して頂きながら実践される事を提言させて頂きます。
尚、マインドフルネスと瞑想についての本は、こちらで3冊紹介させて頂いております。
参照:「マインドフルネスと瞑想の本3冊」
本を読むにしても、やはり私はワークショップなり講座を受講される方が望ましい、と提唱させて頂きます。
合掌