有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
あなたは、自己顕示欲という言葉を、どのような捉え方をされているでしょうか。
アドラー心理学が人気なのか、「嫌われる勇気」が売れていてるのが、本屋の本棚を見ても読み取れます。
自己顕示欲を抑える方法なり対処法について、自己顕示欲や承認欲求の強い青年とアドラー氏っぽい先生の対話形式で書かれている本です。
もう売り払いましたけれども、私も購入して読んだ事はあります。
あれはあれでわかりやすく書かれていて、なるほどなあ、とは思う部分もありました。
ただ、題名を読み間違えたら「嫌われても良いんだ!」と、それこそ自己顕示欲の塊と化したり、承認欲求が更に深まってしまう危険性がありそうな気もしましたけれどもね。
嫌われる勇気とは、嫌われても良いのだという免罪符ではありません。
欲求と言えば、マズローの欲求5段階説というのもありましたね、私は大学時代にマーケティングの授業で習った理論です。
人気のアドラー心理学や、マズローの欲求5段階説というのは、確かに自己顕示欲や承認欲求を抑える知識としては役立つとは私も思うところがあります。
その上で、仏法や仏教の知恵には、無理なく自己顕示欲を抑える方法を見出す知恵もある事をお伝え致します。
自己顕示欲の意味、これすなわち煩悩なり
まず前提として、自己顕示欲の意味は:自己の存在をアピールして知って貰いたいという欲求
です。
「仕事で成果を出しんだよ、もっと私を見て!」「これは俺がやってやったんだ!」と言う自慢話も、自己顕示欲を発端としております。
最近よく見かける「コンサル生が成果を出したのは俺が教えてやったからだ。」という自慢をブログでしている人がいますが、あれも自己顕示欲の煩悩にまみれた典型です。
早い話が虚栄心や我が強い人で自慢話が好きなやからのことです。
自己顕示欲の意味は、言うなれば「煩悩(ぼんのう)」の一種です。
「自分のやったことをアピールしてもっと見て貰いたい!」
「もっと認めて貰いたい!」
と、やたら自慢したり過去の仕事の成果や成功事例をアピールする人は、虚栄心や自己顕示欲の強い煩悩にまみれた憐れな人です。
そういう人への対処法は、
:近づかない、離れていくこと
です。
そういう人に縁あって出会ったならば、反面教師にさせて頂いて、
「自分は、こうはなっていないだろうか?」
と反省する修行の場とさせて頂きましょう。
何事から、何人からでも学べる知恵が仏教であり、仏法ですから。
自己顕示欲の意味を知り、それを抑える方法は、まず「認める」ことから
自己顕示欲というのは、己や「我」がある人間であるならば、どうしようもなく存在するものです。そりゃ中には、生まれたときから煩悩が一切無くて、それこそお釈迦様(ゴーダマ・ブッダ)みたいな人もいらっしゃるかもしれません。
しかし確率的に、少なくともこのお堂(ブログ)に来て下さったあなたは、「自己顕示欲を抑えるにはどうしたらよいのか?」「過度な承認欲求や自己顕示欲を抑える方法を知りたい!」という悩みをお持ちで来られたとお見受け致します。
自覚が無かったり、それこそ我が強い人で「自分は正しい!」という傲慢な人は、そんな反省すらしませんからね。
少なくともあなたは謙虚さをお持ちで、自己顕示欲がご自身の中にあると認められている節があります。
自己顕示欲を抑える方法ですが、巷ではいきなり「自己顕示欲はこうすれば無くなる!」と、直接的な方法論を仰る人も存在しますが、その前にすべき事があります。
それは
:一旦、自分には自己顕示欲があると認める
ということです。
ここでは、「自己顕示欲が強い」「少しある」などの分量や定式化は致しません。
「私には自己顕示欲がある」と、意識的に認めるだけです。
あなたは、「自分は自己顕示欲が強いなあ。」と思っていらっしゃるから、このお堂(ブログ)に来られたのでしょうから、すでに漠然とは自覚があるはずです。
それを、今度は意識的に認め、そこから始めるのです。
実は、この「自己顕示欲は自分にある欲求である」という自覚が、自己顕示欲が強い人にならぬための、大切な一歩目であるのです。
そもそもとして、自覚なき人は、その先が危険地帯とも知らず、どんどんと突っ走ってしまいます。
しかし、この文章を読まれている方は、少なくとも自己顕示欲とは何か、その意味を知って何とかしたいという思いが、大なり小なりあるであろうとお見受け致します。
だからこそ、こうしてご縁を頂いたわけですし。
自己顕示欲という、自己に内在する承認欲求に対する自覚を、大なり小なり持っているという自覚があるならば、すでに自己顕示欲の煩悩なり心理に毒されない一歩目を踏まれた、私はそのように頂いております。
そうして気づき、自覚して認めることで、次のステップヘ進むことが出来るのです。
自己を観察し自己顕示欲や虚栄心が出てくる瞬間を逃さない
日常生活や仕事の現場において、「やった!成果を出した!」「仕事で成功した!」と思う瞬間があります。そんなときに、自慢したくなったり成功を知って貰いたいと言う自己顕示欲や虚栄心が、ひょっこりと顔を出してきます。
「私には自己顕示欲がある、だからその煩悩に毒されないように気をつけないと。」
と、己の自己顕示欲を認めて観察力を磨けば、その瞬間をあなたは逃さないでしょう。
その時に、見栄を張ったり虚栄心から過度なアピールをしないように注意するのです。
成功報告をしたり、人に尋ねられたりしたら、事実だけを報告するだけで十分です。
更に「この成果は私だけの力ではありません、色々なご縁に助けられたことにより、ご縁に感謝致します。」と、両手を合わせ合掌してみると良いでしょう。
そうすることで、自己顕示欲を抑える事が出来て、結果的に周囲の人達から謙虚な人だと思って頂ける可能性が高まります。
まとめると
:自分に自己顕示欲や承認欲求があると認める
:それを意識しておく
:自己顕示欲や虚栄心が顔を出す瞬間を逃さない
:仕事の成果などには謙虚な姿勢で感謝の念を忘れない
といったところです。

私の普段させて頂いている自己顕示欲を抑える方法
最後に、私が毎朝毎夕やっている、己の煩悩や自己顕示欲なりを認め、反省し仏道を歩むべく行わせて頂いている事を紹介致します。私は浄土宗の勤行をさせて頂いておりまして、仏壇の前で偈や御経を称えております。
その一つに「懺悔偈(さんげげ)」があります。
・我昔所造諸悪業 (がしゃくしょぞうしょあくごう)
・皆由無始貪瞋痴 (かいゆむしとんじんち)
・従身語意之所生 (じゅうしんごい ししょしょう)
・一切我今皆懺悔 (いっさいがこん かいさんげ)
という七言絶句です。
「昔より現在までいつ始まったもわからぬ貪瞋痴の煩悩、身・口・意一切の罪、それら全てを懺悔させて頂きます。」という意味の偈です。
私はこれをお唱えさせて頂く時、同時に「私が絶対的に正しいと思わぬ事。」「謙虚さを忘れず傲慢にならぬ事。」ということもお誓い申し上げております。
自己顕示欲を抑えるには、このような偈を声に出して御仏にお誓い申し上げる事は知恵の実践であり、また仏道修行にもなります。
自己顕示欲という煩悩が強くて悩んでいるならば、仏法の知恵、仏教からお知恵をお借りしてみるのも、良ききっかけではないかと存じ上げます。
仕事で成功して、成果を自慢したくなったりしたときに、懺悔偈をお唱え申し上げるのは謙虚さを忘れぬ実践になりますし、是非とも実践される事を提案致します。
尚、今回の話と関連して、こちらでも自己顕示欲についてお伝えしております。
参照:「自己顕示欲とは」
参照2:「自己顕示欲の強い人の心理と仏教の智慧」
合わせて学んで頂く事により、自己顕示欲という煩悩との折り合いや付き合い方を、理解して頂けるかと存じます。
合掌