自業自得の意味と英語表現

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

あなたは「自業自得(じごうじとく)」という言葉に、どのような印象をお持ちでしょうか?
442011 現代では「自業自得」というこの四字熟語は、あまりよろしい意味で使われるケースはないように感じます。

「そんなの自業自得だ。」「自分が悪いんだろう、まさに自業自得」というように、自己責任と同義で使われているように、私には感じられるのです。

仏教語・仏教用語としての「自業自得」は、必ずしも悪い意味ではなかったものですが、なんともまあ、さすらった言葉であると感じるところが御座います。



今回は、自業自得の意味を、現代の意味と共に、仏教語・仏教用語としての意味も同時に学ぶ事と致します。

スポンサーリンク

自業自得の意味:現代日本編

仏教語・仏教用語としての自業自得の意味を学ぶ前に、まずは現代日本における自業自得の意味をおさらいしておきましょう。



私が使わせて頂いております語源辞典によると、

:語源は仏教語で、自らが作った業のために、自分の身に報いを受けること
(日本語源広辞典より)

とあります。

語源辞典の最後には、
:ふつうは、悪い報いです
と記されております。

この説明からも分かる通り、「自業自得」は、「悪い報いは自分の行いによるもの、自分の業=自業自得」という意味です。

つまり、現代流行っている自己責任と同じニュアンス・感覚で使われる言葉として説明がなされております。



私は、自己責任論も自業自得も、現代では特に無責任なやからや詐欺師などの有財餓鬼や我利我利亡者達が使う言葉だと勝手に思うております。

もちろんこれは、私の色眼鏡に過ぎませんがね。

よくある「うまくいけば自分の手柄、失敗すれば他人のせい」ということを、平気でやっている連中の常套句です、自己責任や自業自得って。



とにかく、現代の日本社会においては「自業自得の意味」は、悪い報いを受けた時に使われる、悪い意味の言葉として定着している雰囲気を感じるものであります。
166103

自業自得の意味を仏教語・仏教用語として学ぶ

自業自得という言葉は、語源辞典にも御座いました通り、語源は仏教に御座います。

仏教語・仏教用語としての意味を紐解いて行くと、本来は良い悪いの分別なく使われていた言葉であることがわかります。

また、仏教的な在り方や在り方の指南ともなる意味も、仏教語としての自業自得から学べますよ。



自業自得という言葉の出所を辿ると、仏教の経典の出所は、「正法念処経(しょうぼうねんしょぎょう)」にあり、ここに「自業自得果」という言葉があります。

源信和尚や「往生要集」、また六道輪廻について詳しく学んだ事がある人ならば、ピンとくるのではないかと思います。



自業自得の「業(ごう)」は、サンスクリットで「カルマ」と言います。

「業」とは「行為、行い」という意味であり、この意味から「自業自得」の意味がみえてきますね。



つまり「自分が行った行為の報いは、自分が受ける」というのが、本来の意味です。

「善因善果、悪因悪果、自因自果」という言葉と共に自業自得の意味を学ぶと、よりわかりやすいでしょう。



例えば、学校に通っていて、小テストが明日行われると言う事で、しっかりと勉強したとします。

その結果、テストで満点を取ったとしたら、それも「自業自得」です。



このように、仏教語・仏教用語における自業自得の意味は、本来的には良い悪いの分別無く使われる言葉です。
スポンサーリンク

自業自得の意味を英語から学ぶ

自業自得の意味は、現代で一般的に使われている意味と、仏教語・仏教用語としての意味や歴史を学びました。

仏教由来の言葉とは、なんとも曖昧な部分もあり、それを曖昧なまま味わう事に、私は趣なり感謝の念を抱いております。



しかし、どうしても言葉を言葉で、つまり「ロゴス(言葉・論理)」できちんと理解したい、と言う人も現代では多いのでは無いでしょうか。

特に、曖昧さを嫌う現代社会の風潮からは、そのように思う人も少なくはないことでありましょう。

曖昧さは、何となく悪と見なす人もいらっしゃいますし、はっきり白黒付けたがる人がいらっしゃるのもわかります。



そこで、仏教由来の言葉、仏教語なり仏教用語を、より分節して理解しやすくするには、英語で学ぶという切り口が御座います。



丁度、私が先日手に入れた本「英語でブッダ」にも、自業自得の意味や英語は書いてありませんでしたが、「業(ごう)」について書いてありましたから、それを元に学ぶと致します。

尚、現在は「超カンタン英語で仏教がよくわかる」の方が、価格も安いコンパクトな新書になっておりますから、購入して読まれるならこちらの方が良いでしょう。

浄土真宗本願寺派の僧侶であり、「ぶっちゃけ寺」にも出演されている大來尚順さんが書かれた、英語で仏教の言葉を学べる本です。



大來尚順さんは、「業(ごう=カルマ)」を、「行為」という訳から「Action(アクション)」と訳されています。

その上で、前世の行い、前世の業によって自分は不幸なのではないか、という考え方に対して、ブレーキとなる考えも記して下さっています。



仏教は「今、この現実を生きる事」を説く教えであり、前世、つまり過去がどうのこうのという事柄に縛られることを戒めています。

迷信めいた話に惑わされてしまう事を戒めるのが、仏教です。



確かに「六道輪廻」など、輪廻転生論と親和性の高い話もありますが、「六道輪廻」は、あくまで生きている我々の在り方を示している話です。

私たちは、どのようなご縁によって、餓鬼にも畜生にも落ちますし、天界に登り有頂天になって、増上慢にやられるかわかりません。

それゆえに「己の行い、業=Actionは冷静な判断のもと、行動しなさい」という戒めの教えが、「業」という言葉にある、大來尚順さんはそのように味わいを持たれて、訳されているとお見受けしております。



その事から、大來尚順さんは、「業=living for Hope(希望のために生きる事)」とも訳されています。



前世の業がどうのこうの、と言う事に囚われずに、希望を持って業(行為、Action)を起こしていく、私は大來尚順さんによる「業の英訳」から、そのような味わいを頂いております。

そうすると、「自業自得」という言葉の意味にも、希望を感じられるようになってきませんかね。



自業自得の英語について、最後にさらっとだけ、文章としての表現を記しておきます。

:one asked for it
:be one’s own fault 等
(Weblio英和対訳辞書より)

135843

自業自得の意味や概念を克己心として頂く

今回は、自業自得の意味を仏教語・仏教用語として学び、一般的な意味と共に味わってきました。



私は、自業自得も自己責任も、現在は責任逃れのために使われる事が多くて、悪い方にさすらっている言葉であると感じております。

このような今日において、私は自業自得の意味や概念は、克己心として頂くのが望ましいのではないか、そのように思うのです。

人様に対して「それは自業自得だ、自己責任だ」と、攻めたり押しつけがましく宣うのではなく、自己の在り方として頂くという味わい方です。



そもそもとして、自分が行った行為、業というのは、何がどのようなご縁によって、どのような結果となるかは未知数です。

人間の分別地や物差しで、ある程度は予測可能なこともあるでしょうけれども、それでも100%予測した通りになるという保証はありません。

世の中の因果関係なりご縁のありようを、全て予測できるなんて考えは、私は傲慢であると考えます。

そのような世の理の中で生きていくのであれば、「自業自得」は、己の責任の在り方、我が身を正し調える克己心として味わい実践する事が、仏道を歩む、仏教的な生き方ではなかろうか、そのように思うのです。



このような考えから、今もなかなか出来ておりませんが、私が心がけていることに、
:良き縁はお陰様、嫌な事や自分都合にならぬのは自業自得
というものがあります。



最近、この逆のことが特にインターネット上、なんちゃらコンサルタントや自己啓発系ビジネス、なんちゃら塾とか、ああいう場面で見受けられます。

やたら、「自分はコンサル生、塾生を、これだけ稼がせました!」と、聞きもしないのに自慢している輩って、観たことありませんか?

「稼がせました」という表現からして、既に「慢の煩悩」にまみれている姿が見えます。

「客が成果を出したのは俺が教えたから、上手く行かないのは言うとおりにしない客のせい」というのは、まさに「うまくいけば自分の手柄、失敗すれば他人のせい」という理屈です。



こういうことをやっているやからの事を、私は「我利我利亡者(がりがりもうじゃ)」と呼んで認識しており、人とは違う生物だと観ております。

まあ、これは私の傲慢な方便であると自覚はありますが、それくらいに思っておく方が、大切な財産をこのような我利我利亡者な詐欺師共に奪われる危険性も回避出来ますから、現在はこの考え方を採用しております。



このような亡者共は反面教師にして、私たちは「お陰様の縁と、克己心としての自業自得」なる仏道を歩みたいものです。



尚、「自業自得」について、更に踏み込んだ話を、こちらにてさせて頂いております。

参照:「自業自得と自己責任」

合わせてお読み頂く事で、新たなる発見なり智慧とのご縁があるかと存じます。



合掌

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加