詐欺師症候群の特徴と謙虚な人

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

世の中には色々な「症候群」なるものがあり、最近知ったものに「詐欺師症候群(インポスター・シンドローム「imposter-syndrome」)」というのがあります。
400119 詐欺師症候群という概念自体は1978年頃からあったそうですが、なんでもエマ・ワトソンさんという女優が告白したことによって、日本でも広まったと調べて観て分かりました。



詐欺師症候群とは「症候群」とついていますけれども、病気ではなくて薬を飲んだりする治療は無く、治療と言える治療は行動認知療法などの、うつ病治療でも活用されている治療が主です。

日本ではエマ・ワトソンさんの話から知られるようになり、治療方法と言いますか、対応策やどのように改善・克服していけば良いのか、方法論も出回っております。



私は、この詐欺師症候群の特徴や症状について調べて観たところ、傲慢にならず謙虚に生きる力に変換出来るのではないか、そのような考えを持つようになりました。

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詐欺師症候群とは?その特徴や症状について

詐欺師症候群とは、一見すると「詐欺師になってやめられない」とか「詐欺師になりそうな人」という印象を持たれてしまいそうな言葉に思えます。

現実問題として、特にインターネット上のなんちゃらビジネスの世界や、自己啓発セミナー等の自己啓発系ビジネスの類いでは、本当にそういう亡者だらけではありますが。



詐欺師症候群という言葉と概念は、そのような意味では御座いません。



詐欺師症候群とは、
:自分の評価を過小評価しすぎる
:その事から自分に自信が無い人で不安を抱えている状態
というような特徴や症状が重くのしかかっている状態の事とあります。



実は私、詐欺師症候群の特徴や症状を読んだときに、
「私も当てはまる。」
と、直観したものです。

私も常に自信というあやふやな概念は薄いですし、常に「自分が正しいと思い込むなよ。」「内省せよ。」と、阿弥陀様の声やご先祖様の声をお仏壇の前で「我昔諸行諸悪業・・・」と称えるたびに頂いており、自信満々とはほど遠い生き方であり在り方です。



詐欺師症候群とは要するに、
:自分に自信が無くて常に自己評価が低い
:評価されると「だましているんじゃないか」と自分が詐欺師に思えてくる
:自己肯定感が低い
という特徴が常にあり、それが症状とも言える深刻さを持っている事です。



例えば、仕事で成果を上げたり、何事かが上手く言ったとしても、
「たまたま、運が良かっただけ。」
「皆が協力してくれたから出来た事で、私の力で成したのではない。」
というように、自分自身のやったことや携わったことが成功しても、自分自身を過小評価します。

このような過小評価が、病的であったり過度である事を、詐欺師症候群というのです。
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詐欺師症候群とは性格的な特徴であり、常に内省している謙虚な人の特徴にも思える

詐欺師症候群の特徴は、症状とも言われていますけれども、「常に内省している」という特徴にも見えます。

本人の性格もあるでしょうし、確かに病的な感じに過小評価しすぎるのは考えものですが、詐欺師症候群と見える特徴は方向性を転じることによって、力になり得ると私にはみえました。



詐欺師症候群が力になるという事柄については、謙虚な人の特徴に観る事が出来ます。

日本人的気質の謙虚な人の特徴に、
:相手を立てて自分は慎ましく
が御座います。

この「謙虚な人・謙虚な姿勢」というのは、「奥ゆかしさ」という味わいを私は感じております。

詐欺師症候群の背景には、この「奥ゆかしさ」という特徴なり性格を、私は見出しているのです。



西洋的なビジネススタイルや考え方が流行するようになってからは、やたら個性なり我の強さを強調することがよしとされる風潮があります。

そして厄介な事に、そんな我を通そうとする強引さに無自覚な人もいるのが悲しいところです。

その事について「我利我利亡者」という表現を用いて、以前にお伝えした事も御座います。

参照:「簡単にお金を稼ぐ方法を教えると宣伝して先にお金を要求する我利我利亡者」



我利我利亡者や詐欺師は、詐欺行為をしているという自覚すら無く、自分が正しいと思い込んで内省することがありませんから、始末が悪い存在であります。



私は、このように我欲が強すぎる我利我利亡者よりも、詐欺師症候群の特徴を持っていて、常に内省している人の方が付き合いやすいと感じております。
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詐欺師症候群の特徴を仏教視点で学ぶ事で、謙虚な人になれる

確かに、症状と呼べるくらいに詐欺師症候群の特徴にまみれてしまっていては、不安感や苦悩にまみれている状態とも言えますから、ある程度は緩和した方が良いでしょう。



ただ、この特徴を認め大切にしつつ、方向を変えることによって、謙虚な人になり、同時に症状から素晴らしい個性や特徴になっていくと、私には観えるのです。



詐欺師症候群の特徴を持っていた有名人と言えば、冒頭でお伝え致しました、エマ・ワトソンさんがいらっしゃいます。

その他には、女優のケイト・ウィンスレットさんや、ティナ・フェイさんも、そうらしいですね。



日本人で言うと、あくまで私の個人的見解ですが、源空・法然上人親鸞聖人も、謙虚な人という意味で、詐欺師症候群の特徴はお持ちだったのではないかと考えております。

断っておきますが、法然上人や親鸞聖人が詐欺師とは言っておりませんからね、あくまで似た特徴をお持ちだったのではないかと推察しているだけです。



その根拠ですが、親鸞聖人はご自身を「愚禿親鸞」と名乗られて、ご自身を「煩悩具足の凡夫(ぼんのうぐそくのぼんぶ)」であることを自覚的に生きられました。

そして親鸞聖人は、「お前はそれで良いのか?」「自分が正しいことをしていると思うな。」と、ご自身を戒め内省する事を忘れずに謙虚な人として生きられた方と伝えられています。



また、親鸞聖人が「本師」と仰がれた法然上人は、ご自身を「愚痴の法然房、十悪の法然房と名乗られています。

法然上人は、人々から、また高僧と呼ばれる人達からも「智慧第一の法然房」と呼ばれる程に、学問・仏法を修められた方です。

しかし、法然上人ご自身は、「学べば学ぶほど、三学(戒・定・慧)を修める器に非ず」と、自らを自覚されたのです。



この姿勢を貫かれた法然上人と親鸞聖人は、まさに、謙虚な人と言えるのではないでしょうか。

そして、このような謙虚な人の在り方は、詐欺師症候群の特徴・症状と、共通するところがあると、私は考えております。



ちなみに、以前、釈徹宗さんの講演を聴聞させて頂いたときに、
「真宗の教義やお念仏を学んで、常に「良いことをしていると思うな、正しいと思い込むな、それで本当に良いのか。」という声が聞こえてくるようになったものです。」
と仰っていました。



このような事から、詐欺師症候群の症状で悩んでいると言う方は、
:実はすでに謙虚な人であるという特徴を持っている
という頂き方を、私はしておるのです。



確かに、心が苦しくなるくらいに不安になりすぎるのは、最早症状と言える状態で緩和した方が良いでしょう。

でも、謙虚な人であると言う特徴を大切にしつつ、症状と言われるほどの状況を和らげる方向性を持つ事によって、丁度良い具合、「中道」の位置に行けるのではないか、そのように私は考えております。
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詐欺師症候群の症状を謙虚な人の良き特徴に進化させる方法

では、どうすれば良いのか、その方法論ですが、例えば仕事で成果が上がったときの事、成功したときを取り上げて見ましょう。



:仕事で成果が上がった

:周囲の人達や、運に助けられた事も大切な要因に感謝する

:その上で、自分が関わったという関係性があるのも事実であり、成功の要因だと認める



このように自分が関わったという事実が成功要因の一つであることも認める」のです。

周囲の人達への感謝や、運という要素にも助けられた事に感謝申し上げると共に、自分の存在と関わったという関係性の事実に目を向けて、そこを認めるのです。



結果というのは、数多の「ご縁」が重なり合い、結びついた事によります。

物事の結果は、100%外的要因だけではありませんし、100%自分の力でもありません。



このような考え方や在り方を意識していけば、詐欺師症候群の症状が、謙虚な人であり続ける素晴らしい特徴に進化していくと、私は考えております。



合掌

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