有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
前回は、祇園祭の由来と歴史について、仏教の話を交えてお伝え致しました。
前回お話しさせて頂いた祇園寺の話は、人によってはトリビア的な話だったかも知れませんが、豆知識として知っておくと、違った趣で祇園祭を楽しめるかと思います。
だからといって「俺、祇園寺の事知ってるぞ。」と、知識をひけらかしたり自慢すると、法然上人から「智者の振る舞いをせずただ一向に念仏すべし。」と、諭されるかもしれませんがね。
鴨川も御座いますし、恋人と祇園祭に来られた際に、彼女さんに知識をひけらかして「ええかっこしい」と思われないように、奥ゆかしく男るがよろしいかと。
余計なお世話でしょうがね。
祇園祭の宵々山と宵山の日程
祇園祭と言えば、前祭と後祭の山鉾巡行が、メインイベントであると言う印象をお持ちの方が多いであろうとお見受け致します。京都の祇園祭は、7月1日の「吉符入」と「長刀鉾町お千度(見学は出来ません)」に始まり、7月31日の「疫神社夏越祭」まで行われます。
京都の7月は、1ヶ月間祇園祭ではあるのですが、やはり目に付きやすい行事に集中してしまうものですね。
そして、これまた不思議に思うのが、祇園祭で最も人がやってくるのが、実は「宵山」と呼ばれる、山鉾巡礼の前夜だったりします。
文化祭の前夜祭が、実は一番盛り上がるとか、そんなノリなのか、特に若い人達が宵々山と宵山に繰り出します。
2016年の宵々山と宵山の日程は、以下の通りです。
:前祭宵々山:2016年7月15日(金)
:前祭宵山:2016年7月16日(土)
:前祭山鉾巡行:2016年7月17日(日)
尚、歩行者天国も設置されます。
:歩行者天国設置日程と時間帯:
7月15と7月16日の18時から23時
:歩行者天国の場所:
八坂神社前の四条通りから堀川通り間
2016年の祇園祭は、金土日と観光するには絶好の日程です。
つまり、それだけ人が多いと言う事ですね。
あなたも気になられるであろう来場者数ですが、2011年・平成23年は、7月15日が金曜日で3日間の曜日が同じ条件です。
2011年の来場者数データは、
:7月15日(金):28万人
:7月16日(土):45万人
:7月17日(日):20万人
と、京都新聞に載っていたという記録が残っております。
山鉾巡行は、時間や場所という条件があるから致し方ないとしても、なぜゆえに前夜祭の方が倍の人数来られているのかと、問いを持っておるところです。
ちなみに、後祭の宵山期間の日程は
:2016年7月21日(木)から7月23日(土)
で、これまた曜日が上手い具合になっていますね。
京都の祇園祭「宵々山」「宵山」で地元民が語る注意点
京都の祇園祭は、上でお伝え致しました通り、凄く多くの人が来られます。曜日の条件が合えば90万人近くが、宵々々山から山鉾巡行までの期間に90万人近くの動きがあります。
単純比較は出来ない話ではありますが、京都市の人口が大体100万人ですから、それに匹敵する人の動きですね。
そして、ここからちょいと楽しいお祭りに水を差す話になってしまいますが、注意点をお伝え致します。
地元民で、更に私も実際に宵々山と宵山、山鉾巡行を観に行った経験があり、その経験則からの注意点です。
まず、祇園祭の舞台となる京都の中心街は、歩行者天国になって屋台も沢山並びます。
そして東西に伸びる四条通りは、特に烏丸通りから八坂神社までの区間は意外と狭く、場所によっては身動きが取れません。
例えば「あ、アイスチョコバナナの屋台だ」と、お目当ての屋台を見つけても、たどり着けない事も御座います。
実際に私も、屋台を楽しむという楽しみ方は宵山に祇園祭の舞台に到着早々に諦めましたからね。
また、一方通行になっている道は道幅が狭く、やはり身動きが取りづらい状態です。
それに、一度移動の流れが出来たら、それに追随して動かないと、顰蹙を買ったり転倒する恐れもあります。
「京都祇園祭の宵々山と山は、身動きが取れない事もしばしばある」と心得た上で、お楽しみ頂ければと思います。
あの状態でどう楽しむかは、智慧の出し所であり、禅の「動中の静」「動中の工夫」の修行として挑まれるとよろしいかと存じます。
いや、ほんと、場所によっては全く動けなくなりますからね、その体験があるから、祇園祭の宵山って敬遠していたのですよ。
京都は自転車が便利だが祇園祭の宵山で自転車は危険
更に水を差すような注意を、これも私の体験からお伝え申し上げます。私は、トーセというIT企業に勤めさせて頂いていた頃、祇園祭の時期、特に宵々山と宵山の日程に出勤したときに、自転車では来ないように指令が下りました。
「別に大したこと無いだろう。」と思ってはおりましたが、自転車禁止令の日は電車通勤に切り替えました。
そして、結果的に指令に従って良かったと思うたものです。
祇園祭の「宵々山」「宵山」「山鉾巡行」の日程は、自転車は逆に足枷になります。
人が多すぎて危険ですし、まともに乗れやしません。
祇園祭で特に人が密集する日程である「宵々山」「宵山」「山鉾巡行」の日は、自転車にのって四条界隈の繁華街に出かけるのは避ける方が無難です。
これが、地元民である私も体験した注意点です。
本当に人が多くて怪我の恐れも多くなりますし、蒸し暑くて熱中症や脱水症状の恐れもありますから、ご注意下さいね。
水分補給と適度な休憩を挟んで、安全に祇園祭の歴史を味わって頂ければ、嬉しゅう御座います。
ちなみに、京都は、観光客にもレンタサイクル(自転車を借りるサービス)が人気であり、東本願寺の近所にもちょくちょくとレンタサイクルショップがあります。
京都は特に一方通行が多くてぐるぐる回ってしまう事があり、車よりも自転車が大変便利です。
この辺り「はんなりギロリの頼子さん」も教えてくれています。
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宵山期間は屏風祭
ここまで、注意点で水を差してばかりですから、最後に仏教徒らしく仏教縁の楽しみ方をお伝えさせて頂きます。宵山は、山鉾巡行の前夜の事だけを指しますが、現在は「宵山期間」として、各町内で色々な催しが個別にあります。
仏教縁の催しとしては、屏風の展覧と「あばれ観音」が御座います。
宵山期間は「屏風祭」とも呼ばれて親しまれており、旧家や商店が7月14日から7月16日の間だけ、現代まで伝わる屏風を展示して閲覧出来るように計らって下さいます。
過去の例を言えば、重要文化財杉本家住宅が有名所です。
屏風祭、宵山期間中は「夏の特別一般公開」と題して、1500円で鑑賞する事が出来ます。
ちなみに杉本家住宅は、宵山期間・屏風祭以外でも、祇園祭開催中の7月に、1000円の一般公開日が結構開催されています。

源信和尚縁の観音様が暴れる「南観音山のあばれ観音」は後祭の宵山に
その他に仏教と関連している宵山の楽しみに、浄土仏教の教えを学ぶ私にとっても外せない、源信和尚縁の観音様の話があります。源信和尚と言えば「歴史秘話ヒストリア」で、平等院鳳凰堂の回にて「往生要集」の誕生秘話が紹介されて、知っている人もいらっしゃるやもしれません。
また、浄土真宗のお勤めで称える「正信念仏偈(正信偈)」に、七高僧の一人として名前がある浄土仏教の僧侶です。
(「源信広開一代教」とあります。)
そして、源信和尚と縁のある楊柳観音がご本尊の南観音山では、後祭の宵山に「あばれ観音」の行事が催されます。
由来については「次の日に大人しく座って頂くため、前日にあえてあばれておいて頂く」という説があるとか。
(諸説あります。)
注意点と致しまして、「あばれ観音」は、現在は後祭の宵山に行われる行事であり、前祭の宵山ではありませんからご注意下さい。
後祭が復活する前は、前祭の宵山である7月16日に行われていましたが、現在は7月23日に行われるようになりました。
「あばれ観音」は、夜更けに行われる行事ではありますが、夜更けにもかかわらず大勢の人が見物に来られます。
祇園祭の宵山で、仏教に触れたい、仏教的な要素をより感じたい人は、後祭の宵山の方が味わえるであろうと思うております。
後祭では今のところ屋台が並んだりせず、食欲などの煩悩に振り回されにくい環境ですから、後祭の宵山の方が、より祇園祭に集中出来るでしょう。
尚、祇園祭と仏教の繋がりについては、こちらも合わせてお読み頂くと、より興味を持って頂けるかと存じます。
参照:「祇園祭の由来と歴史、そして仏教の話 」
最後に繰り返しますが、宵山は身動きが取れない程の人が密集するため、怪我と脱水症状にはご注意をば。
怪我や熱中症や脱水症状、またスリなどの被害に遭われないよう、気をつけて楽しんで頂ければ、嬉しゅう御座います。
合掌