有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
あなたは「縁(えん)」という言葉を、どのように用いたり、感じられたりするでしょうか?
「縁」とは、「えん・えにし・ゆかり」と読み、よく使われる言葉としては「ご縁があった、ご縁がなかった」といった辺りかと存じます。
特に就職活動においては、不採用の時に「ご縁が無かった」という不採用通知書が送られてくるものです。
私も就職活動をしていた頃は、いわゆる「お祈り通知」を頂いたものであります。
私はあの「ご縁が無かった」という通知書の文言は、傲慢だと頂いておるのですがね。
それに、「ご活躍をお祈り申し上げています」という、お祈り通知の文言も、本当に活躍を祈っておるのかはなはだ疑問ですし。
縁の意味を英語で学ぶ前に、その意味をまずは学びなおす
やれ「ご縁がなかった」とか「このたびは有り難いご縁を頂きまして」というように、現代社会においては頻繁に「縁」という言葉が使われます。私も、「ご縁を頂きまして」という表現を使いますし、ご縁の有り難さに頭が下がることも御座います。
このように使われる「ご縁・御縁」という言い方が多い「縁」ですが、そもそもこの「縁」とはどのような意味でしょうか。
「縁」や「ご縁」という言葉について、英語で意味を学ぶ前に、まずは改めてその意味を学びなおして観る必要がありそうです。
「ご縁」だとか「縁」に限らず、普段何気なく使っている言葉って、改めて意味を問うてみると、「そういえば、上手く説明出来ないかも」という気づきも、仏教的な味わいです。
「縁」とは、冒頭でもお伝えしました通り、仏教とそれこそ「縁(えにし・ゆかり・えん)」のある言葉です。
仏教ではたびたび「因縁」「因縁果」「善因善果」「縁起」「良縁・悪縁」というように、縁という言葉が出て来ます。
禅語では「縁必ず孤なり。勢いもし使い尽くせば、禍い必ず至る」という教えもありますね。
また仏教色が濃いことわざでしたら「縁なき衆生は度し難し」という言葉も御座います。
この「縁」という言葉を語源から観ると、
:糸+えん(めぐらす、という意味)
とあり、元々は衣服の縁飾りが語源であると、語源辞典に記されておりました。
この事から、日本では意味が「繋がり、関わり合い」という、関係性を語る意味へと転じさすらったようです。
ちなみに、衣服に関連する仏教語・仏教用語として「経営」もそうなのですよ。
「経営」という言葉の仏教的な話も、どこかで伝えさせて頂くと致しましょう。
「縁」とは「ゆかり」という読み方もしますから、そちらからもアプローチしてみましょうか。
「縁(ゆかり)」の語源は、
:ゆ(よってくるところ、由来)+かり(許・ばかり)
で、人と人との繋がりや縁のこと、とあります。
そのまんまですね。
同じ「縁」でも「えん」と「ゆかり」とでは、語源が違うということで、「えんもゆかりも」という表現は、いかに関係性がないか、関連がないか、と言う事をことさら強調している言葉である、そのように感じます。
私はこの「縁」や「ご縁」という言葉の意味は、現段階ではこのように味わい頂いております。
縁の意味を英語で学んで観ましょう
「縁」の意味を学びなおしたところで、いよいよ縁の意味を英語で学ぶわけですが。先に結論から申し上げますと、「縁の英語」については、私はしっくりときた表現が、今のところ御座いません。
「確かに」「なるほどなあ。」と思う事はあっても、どんぴしゃりで「これだ!」と思える縁の英語表現を見つける事が出来ませんでした。
私の語感力と言いますか、言葉の感度が鈍いことも要因ではあるでしょうけれども、先にその事をお伝えしておきます。
そもそもとして、私は「縁」もそうですし、日本語や仏教の言葉って、どうしても英語に訳しにくい言葉が多々あると感じております。
それゆえに、日本語には独特な味わいや頂き方があるのだろうと、風流を感じるわけですがね。
さて、縁の英語についてですが。
「縁」を英語の辞書なり色々な読み物を漁って見ると、これまた色々と訳されてはいますね。
代表的なのが、「運命・宿命・宿業」などとも訳される「fate」でしょうか。
「fate」には「成り行き・結末」という意味もあり、縁による事による成り行きや結末、という解釈をすれば、確かに英語で表現出来る気もします。
ただ、なんといいますか、私の語感においてはなんともしっくりどんぴしゃり、とはいかないのは何故でしょうか。
他には「relationship」というのも、縁の英訳単語として御座います。
確かに、「relationship」には「結びつき、関係、関係性、関連」といった、縁と親和性のある意味が御座います。
でも、あくまで関係性は関係性であり、結びつきは結びつきとして理解しているから、これもどんぴしゃりとはいかないものです。
他にも「tie」という英語・英単語もありますが、これも「結ぶ、結びつき」ですね。
結びつかない事柄も、「結びつかぬという縁」という頂き方をしている私には、どうもどれも近いけれども、どんぴしゃりという英語・英単語は見当たりませんでした。
申し訳御座いません、ふがいなきことで。
「縁がある」で更に辞書や色々なところを探してみると、「be linked by fate」という英語のフレーズも御座います。
あくまで私個別の感性ゆえに、共有しにくいかもしれませんが「繋がり」ということで「link」は、かなり近づいて気かな、というのが私の語感です。
他にも「Rimmed」という英語表現がありましたが、この辺りでなんとか「縁」を表現出来るかな、といったところで御座います。

縁起の意味を英語で学び、縁・縁起という言葉を味わい頂く
仏教において、「縁」と言えば「縁起(えんぎ)」という言葉を連想する人も多いのではないでしょうか。私は、この「縁起」という言葉と概念を大切にしておりますが、その話は別の機会にさせて頂くと致しまして。
「縁もゆかりも」という意味においての縁については、「縁起」を英語で訳した時の言葉が、大きなヒントや気づきとご縁を結べる可能性が高いのではないかと思われます。
そこで、「縁起」について、大変有り難い事に英語で表現して下さっている僧侶の本が御座います。
以前、こちらでもお伝えした事もある大來尚順さんの本「英語でブッダ」に、その事が記されております。
「英語でブッダ」は、現在は新書版「超カンタン英語で仏教がよくわかる」がありますから、もしも一冊用意しようと思われたなら、こちらの方が良いでしょう。
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:Dependent Co-Arising
と訳されています。
「Dependent」は、「従属関係の、隷属的な」という意味です。
「arise」は、「生じる、起こる」という意味の英単語です。
この英語の訳ですと、「生じる事に従属的である、起こる事に従属関係がある」という意味になりますね。
さらに大來尚順さんは、
:Dependent Origination(起源に依存する)
という訳も紹介して下さっています。
後、もう一つの縁起の英語訳は、
:interwoven(織り交ぜる)
です。
衣服が、縦糸と横糸が織りなして構成されているという事から考えると、とても仏教的だなあ、と味わいました。
「経営」についても、縦糸と横糸の話で言葉の意味を説明されることもあり、そこに仏教語・仏教用語としての味わいを見出しておるので、そのような味わいを頂いております。
このように、「縁起」という仏教語・仏教用語から導き出した英語の訳から、「interwoven」は「縁」の英語訳としても活用出来るのではないか、そのように思います。
その他は、上でお伝えしたように「link」を使った熟語か「Rimmed」辺りが、私にはわりかししっくりくる英語で「縁」を表現した言葉です。
申し訳ありません、いかんせん英語には疎く、語感も私は独特だと言われる事もあり、今回の話は上手く伝えられていないのは、自覚しております。
ただ、今回の話のように、「縁」を英語で意味を考えるというように、英語で仏教語・仏教用語を味わうという味わい方もあるのだと思うて頂けましたら、嬉しゅう御座います。
尚、「縁起」の仏教語・仏教用語としての意味は、こちらにご用意して御座います。
参照:「縁起のいい日と言うけれど」
縁起がいいとか悪いとか、そのような使い方をされている方には特に、一読して頂ければ嬉しゅう御座います。
合掌