有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
あなたは、夏祭りに盆踊りに参加したことは御座いますでしょうか?
西本願寺では、7月30日から31日まで、盆踊りが開かれておりまして、今年はのぞいてみようか、なんて考えております。
各々の地域性が発揮される盆踊りもあり、特に日本三大盆踊りと言われている阿波踊りや、エイサーが有名ですね。
盆踊りやエイサーについては、浄土宗で念仏を毎日称えさせて頂いております身としては、やはり話題として取り上げたくなるもので御座います。
盆踊りの起源は空也上人
盆踊りといえば、現在は夏の風物詩で御座いますが、その起源や歴史、由来は浄土仏教と関係が御座います。エイサーに至っては、江戸時代に浄土宗の僧侶であられる袋中上人が、沖縄の首里に浄土宗の教えや念仏を布教したことに起源・由来が御座います。
東北出身である袋中上人が、沖縄まで行ったというのが、これまたなんとも有り難いことであるか、と私は思う次第であります。
盆踊りそのものの起源は諸説ありますが、文献も残っている一つの説が、日本浄土仏教で外せない僧侶であれらる、空也上人です。
空也上人と言えば、「市聖(いちのひじり)」とよばれていて、称名念仏や踊念仏・念仏踊りの起源的な人でもあられるお坊さんです。
空也上人は、口から「南無阿弥陀仏」を立体的に出していることが表現されている、六波羅蜜寺にある空也上人像が有名ですね。
日本の浄土仏教や称名念仏は法然上人、踊念仏は時宗の一遍上人というイメージを持つ人もいらっしゃるでしょうが、実は空也上人が重要な僧侶なのです。
真宗・浄土真宗の「正信念仏偈」で、七高僧と言って7人のお坊さんの名前が挙がるのですが、そこには空也上人は入っておりません。
空也上人は、その後の日本浄土仏教に大きな影響を及ぼした高僧ゆえ、空也上人も加えて八高僧に、と私は勝手に思うておったりします。
民間浄土教の祖とまで言われている人ですからね、空也上人は。
私の妄想はさておき、時宗の一遍上人に大きな影響を及ぼしたといわれるこの空也上人が、平安時代に始められたことが、盆踊りにつながっていきます。
お念仏を唱えながら踊る踊念仏が、各々の地域文化と融合したりと経て(民間習俗との習合と言います)、いつしか盂蘭盆会・お盆と結びついて「盆踊り」として現代まで伝わりました。
現在は、供養の仏事としても言われておりますが、こうして起源や由来を紐解いてみると、浄土仏教との関連が見えてきます。
浄土宗の檀家・檀信徒である仏教者の私が盆踊りに心惹かれるのも、通底している流れがあるからかもしれません。
エイサーも浄土宗と念仏と関連あり
盆踊りと言えば、沖縄県と鹿児島県の奄美群島でお盆・盂蘭盆会の時期に毎年行われている「エイサー」も有名です。現在は、日本各地にエイサーの団体が設立されており、京都からでしたら大阪府大正区で9月に開かれる催しと、ご縁を結べそうです。
エイサーは「念仏廻り」とも呼ばれており、お念仏の宗派と関係が深いことが、ここでわかりますね。
それもそのはず、上で少しお伝えしました通り、エイサーは1600年代に首里へ赴いた浄土宗僧侶・袋中上人がお念仏と浄土宗の教えを伝えに行ったことに由来します。
エイサーは現代、アメリカとフランスでもエイサーが踊られたという話も御座いますよ。
そういえば、24時間不断念仏会では、アメリカともフランスとも中継がつながっておりました。
フランスには、浄土宗寺院が御座いますし、お念仏に関連する仏事なり踊念仏・念仏踊りやエイサーがつわたっていっても不思議は御座いません。
私も、京都の清浄華院で「フランス・パリと日本・京都、お念仏で繋がる夜」という言葉を観て、感銘を受けたことが御座いまして。
そして、浄土宗大本山増上寺のご住職であられる土屋正道先生も、私と同じような事を考えていらっしゃった事に驚き、不思議なご縁の味わいを頂いたものです。
土屋先生は、「法然上人が現代にいらっしゃったなら、お念仏で世界平和を実現されていたのではないか。」と、何かの機関紙で仰ってきたことを記憶しております。
「お念仏で世界は繋がる事が出来るかも。」と考えておりました私と、通底する何かを感じたものです。
お盆・盂蘭盆会の盆踊りやエイサーが、浄土宗の寺院があるフランスやアメリカで催されたのは、このような体験からも、何とも有り難きお念仏のご縁であろうか、そのように感じたのであります。
お念仏で、エイサーで繋がる平和も、なんだか風流で趣がある、そのような気が致します。

現在の盆踊りは結束を固めるエトスだと思う
盆踊りやエイサーの起源を観ると、浄土宗・浄土仏教のお念仏と、関連があるという事は、学んで頂けたかと思います。そして私は、「現在の盆踊りは、お盆・盂蘭盆会の風物詩であり、お祭り気分で地域の人達が楽しめて、地域住民のご縁を結ぶイベント・行事となっている」そのように思うております。
この流れの歴史を見ると、盆踊りに地域性や各地の色が出ているという文化的な流れも観て取れますよ。
この辺り、民俗学的、あるいは宗教学的・比較宗教学の視点から研究すると、趣があるように思えます。
例えば、西本願寺で開かれる盆踊りは、お念仏の宗派と言う事もあり、宗教色や仏教としての色がみえるでしょう。
他方では、今はもうありませんが、私の近所で行われていた盆踊りは、金魚すくいなどの屋台があり、皆さんそちらがメインという感じだったことを記憶しております。
今はなくなった私の近所の盆踊りでは、宗教色は全く観られませんでした。
地域によっては、宗教色が全く観られない盆踊りになっているというのも、なかなか興味深い。
また、エイサーもよさこい祭りでよくみられる、若者達の結束を固めるというエトス(行為様式・風習)という色も濃いところもあるのではないか、そのように思えるのです。
私は、京都駅の烏丸口で毎年開かれるよさこい祭りで、若者達が結集し、一致団結して一つのよさこい踊りを完成させるエトスを、楽しませて頂いておりましてね。
間近で観賞し、その力強さと団結力、それを表現してくれるエトスの力を目の当たりにしております。
この「結束を固める」という部分で、盆踊りやエイサーというエトス(行為様式・風習)は、実はとても大切な役割を担っている、私はそのように観ております。
現代の盆踊りは、自治体なり商工会などが中心となって催されるところも多く、独自の色がどうあっても出てくるものです。
そして、その地域の盆踊りに参加するのは地域住民ですから、必然的に同じ文化で生きている人達が、あの太鼓の周りに集まって円陣を組み、踊り回ります。
お念仏を称えながら、あるいは「エイサーエイサー」と称えながらでしたら、まさに念仏廻りですね。
同じ文化を生きている人達が、一つのエトス(行為様式)を一カ所に集まって「同時(どうじ)」に行う、これはまさに結束を固める要素ではないでしょうか。
この「同時」というのがミソで、「同時」は禅語であり仏教語・仏教用語でもあるのですよ。
盆踊りやエイサーというエトス(行為様式)を「同時」に行う、地域住民や人々の結束が固まるのも頷ける事出るのは、把握して頂けるかと存じます。
盆踊りやエイサーという文化的なエトスに、機能云々をごちゃごちゃ言うのは野暮かも知れません。
でも、機能的価値を見出すと、このように人々の結束が図れる盆踊りは、後世にもしっかり伝えていきたくなる要素がある、そのように私は味わいを頂いております。

盆踊りやエイサーの起源なり由来は、お盆・盂蘭盆会と共に学びましょう
お盆・盂蘭盆会について復習をして頂くと、今回の話をより趣を深めて楽しんで頂けるかと存じます。参照:「お盆情報まとめ」
今年は、何やら8月20日まで京都駅周辺で夏の仏教関連の地でスタンプラリーもありますから、西本願寺の盆踊りにいってみようかな、なんて考えを強く持ち始めました、この文章を書きながら。
上でお伝え致しました通り、7月30日と7月31日は、西本願寺の敷地内で盆踊りが開催されます。
西本願寺での盆踊りは、今回お話ししてきましたお念仏の宗派としての色も、観られるでしょう。
合掌