有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
テレビや映画で、上品な芸能人や上品な立ち振る舞いの人に、憧れた事があるという人も、多いのではないでしょうか。
「私もこんな上品な人になりたい!」
「上品な人になるのはどうしたらよいのだろう?」
このような疑問や欲求は、本屋でマナー本の類いや上品な人になるための指南書が並んでいる事からも把握出来ます。
最近でしたら、上品な人になるためのマナー講座やコンサルティングの類いも見受けられます。
いやはや、最近は何にでもコンサルタントを名乗る人がいるものであります。
本や講座、コンサルティングを受けることは否定しませんが、それよりも、今すぐ意識して実践出来る事が御座います。
お金を費やして上品な人を目指す前に、それを学んで実践してからでも遅くはありません。
今回は、上品の意味を改めて学び、上品な人の特徴から上品な人になるためにはどうすればよいのか、その辺りを共に学んでいくことに致します。
上品な人とは?特徴をまずは学ぶべし
上品な人とは何か?逆に下品な人の特徴はなんだろうか?上品な人になるには、まずはその辺りの特徴や定義を学ぶ事から始める必要があります。
上品な人の特徴として、巷では色々と解説してくれている人がいます。
「言葉遣いが丁寧で敬語を自然に使える」とか「身なり、服装がきちんとしている」とか、その辺りが大体言われる事柄です。
「挨拶が丁寧」で「食べ方が綺麗」というのも、確かに上品な人の特徴であり、品性・品格のある人という表現も出来ます。
下品な人というのは、その逆の特徴であり、「言葉遣いが乱暴、食べ方が美しくない」など、そのような解説がなされます。
ここで、仏教の視点、仏教用語としての「上品・下品」をお伝えすると、もの凄く長くなりますし、今回の趣旨とはずれていきますが、簡単にだけお伝えしておきます。。
仏教、特に浄土仏教では「上品・下品」を「上品(じょうぼん)・下品(げぼん)」という読み方をします。
仏教には「九品(くほん)」という概念がありまして、浄土宗と浄土真宗の浄土三部経の一つ「観無量寿経」で説かれている話です。
仏教用語としてのは、上品と下品の中間に「中品」があり、「上品上生」というように、「~品~生」と、合計9種類あります。
仏教用語としての上品・下品は、我々が娑婆世界で使っている「上品・下品」とは、違う意味がある事をおわかり頂けたかと存じます。
上品な人とは何か、その特徴を一言でいうと・・・
上品な人とは何か、と言うときに、その特徴を一言で申し上げるなら:所作や立ち振る舞いが丁寧で美しい人
です。
立ち姿や後ろ姿から、一つ一つの所作・動作が美しい人って、観たことがありませんか?
思わず「品性を感じる、上品な人だなあ。」と感じる立ち振る舞いの人、そのような人が上品な人です。
食べ方が綺麗な人は、総じて食事作法や食事の所作が美しく、上品な人に見えるものです。
しかも、それが意識的では無くて、自然と身についた所作であるから、動きの流れも自然であるというのが、上品な人の特徴です。
そして、特徴が分かれば、上品な人になるにはどうすれば良いのか、段々と見えてきます。
その上で上品な人なるには、禅の智慧、禅的生活を送るという知恵が非常に有効です。
お坊さんにもよりますけれども、厳しい修行をされたお坊さんは、所作が美しいし立ち振る舞いも凄く丁寧です。
だから、禅寺で一定期間修行をされた雲水さん、禅僧の智慧や禅的生活の知恵は、上品な人になりたい人にとっては、とても参考になるはずです。
上品な人の特徴|根本・基本は「意識して丁寧な動作を心がける」
丁寧な人になるには、大前提として:何事も意識して丁寧な動作を心がける
という立脚点があります。
下品な人というのは、動作が雑で物事を乱暴にしてしまう傾向にあります。
物を無造作にぽんぽん放り投げるように置いたり、人にも物にも乱暴に接している人というのは、立ち振る舞いや所作が下品に見えるでしょう。
そういう事は習慣付いてしまうと、自分では最早気づく事が難しくなってしまいます。
だからこそ「意識して丁寧な動作を心がける」という立脚点を大切にすることが必要なのです。
上品な人になる具体的方法その1:物を両手で丁寧かつ静かに扱う
丁寧さを意識するということを理解したら、次は具体的な方法論です。ここでは、あれやこれやと多くを言うと混乱してしまいますから、2つに厳選してお伝え致します。
上品な人になりたい人が実践すべき一つ目の方法は
:物を両手で丁寧に、そして静かに扱う
です。
これ、実はなかなか出来ていない人って多いんじゃありませんか?
例えば、食事の時に茶碗を持つとき、どうされているでしょう、思い出して頂くとわかりやすいかと存じます。
いきなり箸を右手に持って(左利きの人は左手で)、そのまま左手(左利きの人は右手)で茶碗を片手のまま持ち上げてはいないでしょうか。
箸と茶碗をそれぞれ片手で一気に持ち上げるのは「もろおこし」と言いまして、器をひっくり返したり、箸を落とす粗相の原因になります。
禅の食事作法でもそうですし、本来の茶碗の持ち方、食器の持ち上げ方というのは、両手で行う事が基本です。
1:茶碗を両手で持ち上げる。
2:左手(左利きの人は右手)に持ち替える。
3:箸を持ち上げ、左手の指に挟んで添えて、箸を持つ。
この順序が、本来の食事作法であり、器と箸の持ち方です。
動画で詳しく解説されていますから、この動画を参考にしてみられると良いでしょう。
この「両手で丁寧に物を扱う」と言う所作は、食事に限りません。
軽い物は、ついつい片手でポンポンと軽々しく扱ってしまいがちですが、意識して両手で扱う、または手を添えるという所作を意識して生活することを、習慣づけることが、上品な人になる道です。
物を両手で丁寧に、大切に扱う所作というものは、上品な人に見えますし、物を雑に扱って壊してしまわない事に繋がります。
上品な人になる具体的方法その2:最後まで完結するまで手を離さない
上品な人になるための具体的方法の2つ目は:最後まで完結するまで手を離さない
です。
これはどういうことかというと、具体例を挙げるなら
「ポンポンと物を投げるように置かない。」
「ドアを最後まできちんと閉めるまで、ドアノブから手を離さない。」
ということです。
あなたも、家のドアを閉めるとき、ついつい途中で手を離して「バタン!」と、音を立てませんか?
また、買ってきた本や雑誌を「後で読もう。」と、机の上やベッドの上など、そこら辺にポンポンと音を立てて投げたりされてませんでしょうか。
これは、見た目にも美しくない所作ですし、けたたましい音は立てるし、とても上品な人の所作には見えません。
どちらかというと、下品な人の特徴にありがちな所作です。
物を扱う時は「最後まで完結させるまで手を離さず、丁寧に自分の手で完結させる」このことを意識すべきです。
結果として、音を極力立てずに静かに過ごす事が出来て、周囲にいる人も静かに過ごせるという、思いやりの行動でも繋がります。
それに、最後まできちんと丁寧に物を扱うという事で、これも物品を壊さないというメリットがあります。
上品な人に近づく上に、物も長持ちしますから、一石何鳥分もありますよ。

今回お伝え致しました、具体的な2つの方法を実践していく事は、今すぐに意識して実践出来る事です。
禅的生活を心がければ、所作が美しい丁寧で上品な人に、徐々に変化していく可能性が高い、私はそのように思うております。
合掌