有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
前回は、片付けられないのは病気かどうかチェックする意味、という表題でお伝え致しました。
やましたひでこさんは、断捨離の著書で「片付けられない人は、断捨離という考え方においては一人もいない」と仰います。
ただ、病気が原因で(物理的・身体的であるにせよ精神的な病であるにせよ)片付けられない人は、実際に心療内科のお世話になった体験から、あり得るという私の立ち位置です。
克己心として持っておく言葉として、やましたひでこさんのお言葉は意味があると思いますけれども。
今回は、片付けられないのは病気が原因ではなく、主な要因が怠け心である事や、その心理によるものである場合に限定した話です。
もしかしたら、耳が痛い(読まれるから眼が痛い?)という人もいらっしゃるやもしれません。
片付けられない人の心理は一言で言えば「怠け心」が多いもの
片付けられない人の心理というものは、一言で言うと:怠け心
によるものと言うのが、多いのではないかとお見受け致します。
早い話が「片付けるの、めんどくさい」です。
昔、KBS京都のテレビCMで、「お手伝い大嫌い」という事を戒めるCMがあり、その時「薪割り、面倒じゃ」なんて台詞もありました。
今回の表題に照らし合わせれば「片付け、面倒じゃ」ですね。
仏教では、怠け心を戒めるための教えや仏法もあります。
だからといって、ここでいきなり「喝!」と、仏法を押しつけても困るでしょう。
ゆえに、今回は片付けられない人に多いであろう心理を紐解き、その怠け心に効く仏教的な片付けるコツをお伝えするという形をとります。
なお、今回の事をしっかりと実践していたけれど、いつも何故か散らかってしまう、片付けられないという場合は、もしかしたら病気なのに自覚が無いのかもしれません。
怠け心という心理が原因では無い場合の片付けられない現象については、前回の話を参考にして、1度専門の機関を利用されることを提案致します。

片付けられない人の心理と片付けるコツ1:物を雑に扱う
片付けられない人の心理として一つ目にあげるのは、:物を大切にせず、物を雑に扱う
です。
物を雑に扱うとはどういう事かと言いますと、例えば雑誌を買ったとしましょう。
その雑誌を読んだ後、あなたはどうしているでしょうか?
無造作に机の上に置きっ放しにしたり、所定の位置を決めずに床に散らしてはいませんか?
更に、雑誌を読んだ後、放り投げたりしていないでしょうか。
以前「物をポンポン置かないように」と、このお堂(ブログ)でもお伝えした事があります。
物をポンポンと無造作に、無意識的に置くと言う事を繰り返せば、どんどんと散らかっていきます。
このことから、片付けられない人の心理や行動として戒めるべきは、
:物の扱い方が雑で、物を大切に扱っていない事
です。
片付けられないというよりは、散らかりやすい生活をしているから、結果として片付ける必要が出てくるのです。
そこで、このような物を雑に扱う人が片付けられる人になるコツは、
:物を大切に扱う、雑に扱わない
ことです。
「物をポンポンと置かない」「無意識かつ雑に物を扱わない」たったそれだけのことが、片付けられない人を脱していく一歩目のコツです。
今日から、今から物をポンポンと置かなくなれば、随分と片付ける必要も減ると言う人も多いのではないかと私は思います。
片付けられない人の心理と片付けるコツ2:休日にまとめて一気にしようとする
片付けられない人の心理として二つ目にあげるのは、:休日や時間が出来た時に、一気にやろうとする
です。
休日にまとめて片付けをしようと思っている人の心理は、先延ばし心理とも関係があります。
先延ばしをする癖のある人の一つの例が、この「休日や時間が出来た時に片付ければ良いや。」という考え方です。
私も実際そういうところがありまして、ついついやってしまったときは反省して戒めているところであります。
これは、特に忙しい現代社会において、これは結構ありがちなことかと思われます。
忙しくて、日常的になかなか掃除が出来ないのは、現代社会においては多少致し方ないことであります。
ただ、忙しいのは理解出来ますが、それゆえにこまめな掃除をしないから、いざ休日に掃除を一気にとすると、ここもあそこも・・・と、気が滅入るものです。
それに「折角の休日を掃除のためだけに使うのは勿体ない」という心理も働き、掃除はまた来週、なんて事もありがちです。
それでも、いつかは掃除をしなければいけませんから、片付けるべきものがたまりに溜まった後の片付けや掃除は、どっと疲れるものです。
では、そうならないようにするにはどうすれば良いのか。
ここまで言えば、勘の良い人ならピンとくるでしょう。
休日にまとめてやらなくて済む片付けるコツは、
:常日頃から片付けておく
です。
例えば、日常的に使う場所、洗面所やトイレは、ある程度日常的に掃除をしておく、というのも一つの方法です。
洗面所の鏡は、使い終わって寝る前にちょっと拭いておく、とか、そんな感じです。
また「月曜日はトイレ、火曜日は台所、水曜日はリビング」というように、1週間の内で掃除をする日と場所を決めるという方法も有効です。
お寺、特に禅僧は常にぴかぴかに磨かれておりますが、あれは毎日丁寧に掃除が為されているからです。
間違っても「お寺が休みの日に一気に掃除しよう」なんてことではありません。
そもそも、基本的にお寺って休みは無いそうですからね、実際にお坊さんからもそのような話を伺いました。
是は「一掃除二信心」という言葉にある通り、掃除をもの凄く大切な修行と位置づけている事に由来します。
その事を教えてくれている禅僧や、掃除の仕方と共に掃除の心構えと仏教を教えてくれている本もあります。
|
仕事で毎日掃除が出来ない我々が、その全てを真似する事は難しいでしょうが、これをヒントに片付けるコツを学ぶ事は出来ます。
それが、先ほど申し上げた「曜日毎に掃除と片付ける場所を小分けする」です。
こうすることで、休日に一気に片付ける事や掃除をする労力も減りますから、実用的な仏教・禅の智慧だと私は思うております。

片付けられない人の心理と片付けるコツ3:勿体ない精神が強い
片付けられない人の心理として三つ目にあげるのは、:勿体ない精神が強過ぎて物への執着心になっている
です。
勿体ない精神は、物を大切にする心理でありますから、大量消費社会なり物を大切に扱わない人も見受けられる現代社会に採って、大切にしたい心構えです。
しかし、いかに勿体ない精神が大切であるとはいえ、それがいきすぎて「物への執着心」に変貌を遂げたら、物欲を刺激する煩悩ということで厄介です。
片付けをすると不要な物も出て来ますが、そこで「折角お金を出して買ったから、捨てるのは勿体ない」と思うのは、私にも理解出来ます。
現に私も、断捨離や仏教・仏法と出会う以前は、そんな勿体ない心理によって、なかなか物が捨てられなかったものですから。
もう不要な段ボールさえ「またいつか使うから」と、とって置いた時期さえありましたし。
その「また」も「いつか」も、実は来ない事の方が圧倒的に多かったのですがね。
勿体ないと思う心理や心の働きは大切ではありますが、距離感を間違えたら、不要物もため込んでしまい、結果として片付ける事が出来なくなります。
仏教では、執着を捨てる事を説いており、執着を捨てるための教えや禅語も御座います。
勿体ない精神、勿体ないと思う心理との兼ね合いは、仏教や禅の智慧にそのコツを学ぶ事が出来ます。
物に対して勿体ないと思う精神は、一概に悪いとは言えません。
ゆえに、各々が上手な距離を探って、その距離感を大切にしたいものです。
この事に関しては、このお堂(ブログ)で何度もお伝えして、まとめてもいますから、そちらを参照して頂くと、コツも掴んで頂けると存じます。
参照:「断捨離実践のコツと効果まとめ」
勿体ないという心理と上手に付き合い、上手な距離感を保つのは、断捨離のコツや方法が役立ちます。
断捨離をする事で、自分が何を勿体ない、何をどう勿体ないという心理が働くのかも見えてきます。
そうすれば、部屋も片付いて、更にその事から片付けるのも楽になっていき、片付けられない人から片付けられる人へ変わって行く事が出来ます。
日本人の奥ゆかしさや「見立て」にも繋がる「勿体ない」という精神や心理を大切にしつつ、片付けと断捨離も両立出来る距離感を掴みたいものです。
尚、今回の話は、前回の話と共にお読み頂ければ、より理解が深まるかと存じます。
参照:「片付けられない病気と心理」
己の現在地を知るためにも、役立つであろうと考えております。
合掌