有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。
あなたは、元XJapanのヴォーカル、TOSHIさんをご存じでしょうか?
私は、中学時代と高校時代に家族が好きなバンドと言う事もあり、はからずしてTOSHIさんの歌声をCD越しに聞く機会が多くあったものです。
周囲に、HIDEさんやXJapanが大好きな友人もおりまして。
CLAMPさんの漫画「X」の、映画版主題歌である「forever love」や、綺麗なピアノ曲があったこともあり、私もちょくちょくと聞くようになりました。
現在はTOSHIさんが本「洗脳」や、テレビ番組に出演されて、自己啓発セミナーの洗脳体験を語られているから、洗脳騒動はご存じの方もいらっしゃると思います。
私は、このお堂(ブログ)でも、自己啓発セミナーなどの自己啓発系詐欺に警鐘を鳴らしております。
それを踏まえて、TOSHIさんが受けた洗脳の話や、自己啓発セミナーの怖いところについて、改めて仏教視点からお伝え致します。
TOSHIさんの自己啓発セミナーでの洗脳体験は、心が弱っている時に忍び寄った闇
TOSHIさんは現在、テレビ番組に出演されるようになり、その洗脳体験や自己啓発セミナーや自己啓発系の搾取の構造を伝えられているから、私よりご存じの方の方が多いでしょう。記者会見も御座いましたから、それを視聴された方ならば、よくご存じかと思われます。
また、TOSHIさんの自己啓発セミナーで体験された12年間の洗脳について、TOSHIさん自身が著者となり「洗脳」という本で明かされています。
TOSHIさんの本「洗脳」や、Wikipediaやそれを模写したようなブログを読めば、その辺りの情報は掴めますから、ここでは省略致します。
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今思えば、これは世間の見識からも悪縁というても致し方ないご縁・きっかけだったのではないかと、私には思えます。
仏教や禅では「無分別」として、善悪と分別・区別することを戒める教えがありますが、こおこではわかりやすく、あえて「悪縁」と言わせて頂きます。
当時のTOSHIさんは、色々なトラブルを私生活で目の当たりにして、心が弱っている時期だったそうです。
Hideさんの事も御座いましたし、心・精神が疲弊する要因は多々あったことで御座いましょう。
また、世界進出の際に、世界に通用するかという不安や悩みもお持ちでしたから、なおのこと自己啓発的な事をしなければならないという焦りがあったというのも、大きな要因でしょう。
私も潜入して体感しましたけれども、自己啓発セミナーは、妙にこちらの高揚感を煽ってくるものです。
心が弱っている時は、特に「ああ、ここに居れば救われる」という錯覚さえ芽生えるものです。
心が弱った状態での自己啓発セミナーなり高揚感を得やすい場というのは、煩悩を刺激してくる誘惑的な場です。
小池龍之介さん風に言えば「刺激だらけの場・煩悩を刺激しまくる場」です。
もっと簡単に言うと「人を・脳を・人生を狂わせる場」です。
そうして、自己啓発セミナーに洗脳されてはまってしまい、12年間もの間、搾取されたり他者に影響を与えてしまったと言う事は、TOSHIさんが色々なメディアで話される通りです。
影響力のある人が自己啓発セミナーや洗脳にかかると伝播・感染が恐ろしい
XJapanが全盛期の頃、ルナシーやラルク・アン・シエルなども、丁度力を付けてきた時代で、ヴィジュアル系バンド全盛期と言っても良いくらいの時代でした。XJapanもメンバー一人一人も、当時日本のヴィジュアル系バンドのトップとも言えるXJapanのヴォーカルという事もあり、影響力は抜群にあったことを覚えております。
XJapan自体が、当時はある種の宗教性を帯びたヴィジュアル系バンドという雰囲気もあったと、当時の私も肌で感じたもので御座います。
当時はYOSHIKIさんやTOSHIさん、HIDEさんと同じような髪型と衣装を揃える人も沢山いらっしゃった事からも、ある種の宗教性が窺えます。
言っておきますが、XJapanが新興宗教と言っているのではありませんからね。
「Apple信者」という表現がある通り、影響力を持つ人や物、事柄は、どうしたって宗教性を帯びたり、宗教的な色がついてくるものです。
特にヴィジュアル系バンドは、「ヴィジュアル」つまり視覚的に同調しやすく真似しやすいという特徴も手伝ったのだろうと、今思えばそんな気がします。
そして、TOSHIさんが自己啓発セミナーで洗脳された時、自己啓発系の組織はTOSHIさんを広告塔に使っております。
TOSHIさんは影響力があるし、心酔していたファンもいましたから、格好の広告塔です。
その影響力により、TOSHIさんのファンの女性が自己啓発セミナーに入ったり通ったりしていて、それが後に裁判にまでなっています。
影響力のある人が、こうした洗脳なり自己啓発セミナーの広告とになるのは、伝播・感染が恐ろしいものです。
そういえば、自己啓発セミナーや自己啓発講師が、やたら自己啓発セミナーの第一人者であるアンソニー・ロビンズさんとツーショット写真を自慢しております。
アンソニー・ロビンズさんの影響力にあやかっているだけで集客用のパフォーマンスと思えば、なんだか頷ける話です。

お金を要求してくる自己啓発セミナーや宗教の類いは、自己啓発でもなんでもなくただの搾取
TOSHIさんは、自己啓発セミナーで洗脳された時、多額のお金を渡してしまったことも公表されています。詳細な金額は存じませんが、TOSHIさんにしても辺見マリさんにしても、12年とか長い年月洗脳されてしまうと、金額的な被害も巨額になるものです。
自己啓発セミナー主催側・自己啓発詐欺師達の狙いは、ここにあります。
よくある霊感商法の出来損ないです。
最近、やたら聞く「自己投資」や「欲を捨てるためにこの自己啓発セミナーに参加して、この教団に寄付をして汚れをなくすのだ」というのは、まさに搾取するためのうたい文句です。
やたら自己投資を勧めてくる輩には要注意して、警戒すべきです。
私個別の見解は、自己啓発に巨額なお金は必要ありませんし、そもそも自己啓発そのものにお金を掛ける必要なんて御座いません。
あったとしても、せいぜい本代くらいのものです。
無料か安い自己啓発セミナーに参加して、お金を要求してきたら、即刻そっぽを向いて逃げるべきです。
でも、ずぶずぶに洗脳されてしまっている状態では、なかなかその事に気がつけないものなのです。
私のように、物好きで潜入捜査気取る場合は、何か洗脳させないための軸を持っておくべきでしょう。

TOSHIさんの自己啓発セミナーによる洗脳体験は他人事では無い事を「歎異抄」から観てみる
TOSHIさんは、心が弱っている時に、自己啓発セミナーに洗脳されました。「こんな洗脳とか自己啓発セミナーにはまるなんて、私は絶対に無い!」と、考える人もいらっしゃるやもしれません。
しかし、私はこのTOSHIさんの自己啓発セミナー洗脳体験は、他人事では無いし、誰にでも起こり得る話だと思うております。
なんせ、どのようなご縁が重なって、どうなっていくのかは未知数であるのが、この忍土・穢土の性ですから。
その事について、「歎異抄」の第13条「専修賢善(本願ぼこりの批判)」の智慧に学ぶ事が出来ます。
上で話したように、世の中には「俺は心が強いから、詐欺や洗脳に引っかからない、自己啓発セミナーにも洗脳されない自信がある!」と、豪語する人がいます。
その自信はどこからくるのか不可思議なものですが、そういう「だまされない」と豪語する人は、あなたの周囲にもいらっしゃるのではないでしょうか。
それはそれで結構な自信ですし、否定は致しませんが、ただ、この考え方は時として傲慢になり、足元をすくわれる原因になります。
忍土や穢土と呼ばれるこの世では、我々の意図しないこと、自分都合で進まないことが多々あります。
12年間洗脳を受けたTOSHIさんも、絶頂期と思えた時期に心が弱っていたと明かされています。
絶頂期と思われていた時期でさえ、ご自身の都合通りに行かないことがあり、不安なり悩みを抱えていらっしゃったであろう事が窺えます。
人という生き物は、何がどういう縁となって、心が揺れ動くか、わかりません。
心が弱っている時は、人は何かにすがりたくなるものですし、そこで自己啓発セミナーなどの甘い罠を踏んでしまうと言う縁が重なれば、洗脳されてしまう事もあります。
私も、心身共に絶望していた時期があり、何かにすがりたくなると言う事は体感しておりますから、他人事とは思うておらず、この事例から学ぶべきだと考えております。
「自分は絶対に詐欺に引っかからない、自己啓発セミナーでも洗脳されない!」と言っている人は、確かにその人の実力なり心の強さもあるでしょう。
でもそれは「心が弱っていないご縁を頂いている、という恵みがある」「自己啓発セミナーによる洗脳とのご縁がない」という状況であるに過ぎない、という事でもあるのです。
親鸞聖人が唯円さんに
「人を滅さないのは、私が善人だからでは無い、たまたま思い通りに人を滅さない縁だけなのだ。」
と仰っています。
今回の話に照らし合わせると「自分は、たまたま自己啓発セミナーの詐欺や洗脳とは縁が無いだけだ。」ということです。
「自分は縁に恵まれている」という見方をすることで謙虚に状況を見定め、自己啓発セミナーでの洗脳との悪縁を見極める、忍び寄って来ても断ちきる力になるのではないでしょうか。
TOSHIさんの自己啓発セミナー洗脳体験は、他人事として「へえ。」で終わらせず、自分のみにも起こり得る事なのだと、学び取る姿勢でありたいものです。
自己啓発とは、克己心や精進するため、己を律するためにするのは結構ですが、それも度が過ぎれば深みにはまり、最悪の場合は周囲に多大な悪影響を及ぼしてしまいます。
そのことについては、このお堂(ブログ)の別室(まとめ)にもしておりますから、ご参照頂ければ、今回の話もより理解が深まるかと思われます。
参照:「自己啓発とは何かについてまとめ」
また、これは他人事では無く、自分にも降りかかってくる恐れのある出来事であります。
ゆえに、断り方と自分の心の動きを覚えておくことは、自衛のために大切な事で御座います。
参照:「自己啓発セミナーの断り方の実例」
参照2:「高揚感の意味と使い方の例文から学ぶべきこと」
他人事とせず、自分事として今後に活かして頂けたならば、大変嬉しく思います。
合掌