アンガーマネジメントとは何か

有難う御座います、ようこそお参り下さいました、当庵(ブログ)住職の真観です。

あなたは、アンガーマネジメントとはどのような言葉であり概念であるか、ご存じでしょうか?
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「アンガー」とある通り、アンガーマネジメントとは、怒りに関連する言葉であることは、容易に想像して頂けるかと存じます。



怒りをコントロールしたり、怒らない方法や技術というのは、本屋を観れば需要があるのがよくわかります。

「怒りを消す技術」とか「怒らない技術」など、漫画版にもなっている本もありますね。



最近では「アンガーマネジメント」という呼び方で、怒りをコントロールしたり怒らない人になるための講座や研修もしてくれる団体があります。

日本アンガーマネジメント協会というのが、その代表格でしょうか。

ファシリテーターと呼ばれる指導者の研修も確立されていて、怒りを何とかしたい、怒らない人になりたいという欲求というのは、現代社会でかなりの需要があるようです。

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アンガーマネジメントとは何かを知るための、仏教が説く怒りについての話

アンガーマネジメントとは、言葉や概念そのものは、心理トレーニング方法として以前からありました。

もっと言えば、アンガーマネジメントとは「怒りとの接し方、怒りと上手に付き合う方法や技術」と考えると、もっと昔からあります。



仏教における怒りという概念の教えは、まさに、という感じですね。

アンガーマネジメントという言い方ではありませんけれども。



仏教では、煩悩の根本なり根源的な概念として「三毒(さんどく)」という概念を教えています。

三毒とは「貪欲(とんよく)」「瞋恚(しんに)」「愚癡(ぐち)」のことで、怒りは「瞋恚」に該当します。

私は朝晩と「懺悔偈(さんげげ)」という偈文を称えさせて頂くのですが、そのなかに「皆由無始貪瞋癡」という部分があります。

この中の「貪・瞋・癡(とん・じん・ち)」が、三毒の事です。



仏教では、この三毒の煩悩をどのように感知し、どのように接していくか、三毒から離れていくかという教えが連綿と受け継がれています。



そして、今回の表題の話と致しますと、アンガーマネジメントとは、三毒の一つである「瞋恚」を、マネジメントする、つまり上手に付き合っていくという意味として捉える事が出来ます。



アンガーマネジメントとは何か、その概念や、それを教えてくれるファシリテーターの講座なり本は、確かに役に立つでしょう。

でも、わざわざ講座を受けたり本を買いまくったりとお金を掛けなくても、仏教の智慧、禅の実践によって、アンガーマネジメントを体得することは出来るものです。

日本アンガーマネジメント協会のファシリテーターの中にも、仏教の教えをアンガーマネジメントとして有効だと言っている人もいるくらいです。

2500年ほどの歴史によって確立されている技や術を、使わない手はありません。
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仏教的アンガーマネジメントその1:怒りを観察し自覚する

仏教が教える怒りとの付き合い方、言うなれば仏教的アンガーマネジメントは数有れど、あまり多くを伝えても消化不良になりかねませんから、ここでは3つに絞ってお伝え致します。



仏教的アンガーマネジメントの一つ目は、
:怒りを観察して自覚する
ことです。



怒りを覚えたときや、怒った後に後悔の念に苛まれるときって「つい、カっとなって・・・」と言う表現をよく見聞きします。

その場で感情まかせに怒りをあらわにしたり、それを暴力的な形で表現してしまったら、大抵は後悔の念に苛まれる事に繋がります。

出来る事ならばそのような事態にはしない事が望ましいものです。



そこで、「かっとなった」その時を見逃さず、怒りに自覚的になる事です。



これは、己を客観視したり、自分の状態をつぶさに観察する「瞑想術」が力を貸してくれますよ。

確かに、まさに今怒っている時には、そんな余裕はなさそうに思えますが、怒りの爆発までには大抵はある程度時間がかかるものです。

そして、爆発に至るまでのきっかけの時、最初の小さな怒りの段階で、自分の怒りを観察するのです。



このような時、「今、怒りが沸いています、沸いています・・・」と、実況中継して、具体的に言語化するというのも一つの方法です。

「怒りの出所や出発点を観察して自覚的になる」というのは、仏教的でもありますし、アンガーマネジメントの基本的な事です。

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仏教的アンガーマネジメント術2:「頭に来る」事を防ぐ禅の智慧

仏教的アンガーマネジメントの2つ目は
:「頭に来る」の対極に意識を持っていく
です。



どういうことかというと、怒りというのは「頭に来る」というように、頭に血が上っている状態です。

これは、怒りについての科学的研究でも、頭部の熱が上昇して血液が上がっていると言う事が明らかにされています。



仏教的アンガーマネジメントでは、この逆の事をするのです。



特にこれは禅の修行、坐禅の智慧がここで活用出来ます。

坐禅を組む時に私も実践している事として「内観の秘法」という方法があります。



「内観の秘法」は、臨済宗の白隠禅師が実際にされた方法です。

:わがこの臍輪以下丹田気海及び腰脚足心
と、丹田(身体の中心部)や腰・脚、そして足心(土踏まずのこと)に集まっていくようにしていきます。

土踏まずにまで意識を持っていきますから、まさに「頭に来る」の対極のことをしているわけです。



頭に血液が上がると、ごちゃごちゃと色々と物事を考えたり、それによって怒りが生じたりする事に繋がります。

頭と違う場所に意識を転がしていくと言う事は、その逆のことをしているという事になります。



ムカっときたり頭にきたとき、怒りを覚えたときをきちんと観察出来たら「内観の秘法」を試して見ましょう。

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仏教的アンガーマネジメント3:怒りを流しやり過ごす

仏教的アンガーマネジメントの3つ目は
:怒りを流して上手くやり過ごす
ことです。

「流す」がポイントで、怒りに執着したり、いつまでも引きずらないことです。



現在のアンガーマネジメント理論では、怒りのピークは6秒らしく「6秒ルール」というのがあるそうです。

「6秒ルール」と、数字で縛りを付けても良いものかどうかはわかりかねますが、確かに怒りというのはピークがあるというその理屈は理解出来ます。

怒りの状態が続くと、血圧も上昇しっぱなしですし、人間能防衛本能として、怒りの持続時間があるというのも納得がいきます。

怒りのピークにも制限時間があるという事は、そのピークを上手く流してやり過ごすことが出来れば、怒り爆発という最悪の事態を招かなくて済みます。



その方法論は幾つかありますが、禅の智慧、禅僧が実際に行われた智慧が参考になります。



曹洞宗の禅僧、板橋興宗禅師は、頭に来ることや怒りを覚えることがあった場合、まず腹式呼吸をされるそうです。

深く息を吸い込み、長く吐く事で呼吸をまず調えるという呼吸法です。

怒っている時は呼吸が荒くなっていますから、呼吸を調えるという事は非常に有効です。

そしてその時に板橋興宗禅師は「ありがとさん、ありがとさん、ありがとさん」と、3度称えられるという手法を実践されています。



禅師の方法は、頭に上ってしまった怒りから離れて、上手に流しやり過ごす術としては、凄く参考になる実践的智慧ではないでしょうか。

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ちなみに私の場合は浄土宗ということもあり、深呼吸して合掌し「南無阿弥陀仏を10回」称えさせて頂くという智慧を頂いております。

浄土宗のお念仏には「十念」と言いまして、南無阿弥陀仏を10回称えさせて頂くというものがありまして、やってみるとわかると思いますが、称えている間に自然と6秒ルールもクリア出来ます。



怒りのピーク時間は個人差があるでしょうから、6秒ルールに縛られずに、ピークを過ぎるまで、やってみると良いでしょう。

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怒りが沸くのは仕方ないしなくせない。どう接するかがアンガーマネジメント

人間は、怒りが沸いたり怒りを覚えたりすることは、致し方ありません。

そして、怒りを無理に無くすと言う事も、土台無理な話です。

そこはしっかり「明らかにする」という意味の「諦める」を前提にして、その上でどう怒りと接するか、それがアンガーマネジメントだと私は思うております。



仏教では、怒りに継ぐ念を「第2の矢」として、継がないようにいさめています。

大切な事は、何かの刺激によって覚えた怒りに「二念を継がない」ことです。



アンガーマネジメントのファシリテーターによる講座や、怒らない方法を書いた本を読むのも良いでしょう。

でも、まずはお金を掛けなくても、今回お話しさせて頂きました仏教の智慧、瞋恚の概念や怒りに支配されない知恵を実践してからでも、遅くはないと思います。



アンガーマネジメントとは何かを、もっと深めて、更に瞑想により二念を継がない修行となる話も、こちらにさせて頂いております。

参照:「マインドフルネス瞑想とは何か意味を考える」

参照2:「マインドフルネスと瞑想の本3冊」



マインドフルネス瞑想は、怒りを覚えたときや、アンガーマネジメントに役立つのではないかと思います。

あなたが、アンガーマネジメントを上手く習得される一助になりましたら、嬉しゅう御座います。



合掌

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